行列ができる飲茶(やむちゃ)屋『榮茂茶室』

マレーシアのマラッカに着いた翌朝、ゲストハウスの人から「ぜひ行ってみなさいよ、おいしいから」と紹介されたのが「榮茂茶室(ロンマウチャ―スー)」という飲茶の店です。観光名所になっているスリ・ポヤダ・ヴィナヤガ・ムーティ―寺院(ヒンドゥー教)の前なので、すぐにわかります。太い柱を看板代わりに、黄色に赤字の大きな文字で店名が書かれています。通りに面して開け放たれており、店の前では蒸し器から湯気がもうもうと立ち昇っています。ずらりと並んだバイクは、近所の人が朝食を食べに、あるいは持ち帰りを買いに来たのでしょう。店内は混み合っていました。店の人に招かれて椅子に座ります。扇風機しかないので暑いのですが、全身から汗が吹き出すのは、意外に気持ちいいものです。さて、何を注文しましょうか? 気が付くと、いつの間にか店の外には観光客の行列ができていました。

榮茂茶室の玄関は開けひろげ 榮茂茶室の玄関は開けひろげ

若女将のおすすめは、ピータン入りお粥

まずはお茶を所望しました。すると陶製の急須と、ぐい飲みを一回り大きくした湯呑が運ばれてきます。プラスチック製の容器にはアツアツのお湯が入っており、なるほどこれで湯呑や箸を湯煎消毒するのだとわかります。キャップをかぶった若女将が「お粥か?」と日本語で声を掛けてきました。僕以上に、お粥大好きの妻が大仰にうなずきます。運ばれてきたのがピータン入りお粥です。煮込んだ粥の中に、ピータンの細かく刻んだもの、豚ミンチ、刻みショウガが入っており、上から青ネギと揚げニンニクが振りかけられています。一見何の変哲もないようなお粥なのですが、よーく観察し、味わってみると、長年にわたって親しまれてきた人気商品だとわかります。簡素にして確立された材料の配分は見事なものです。しかも決して熱すぎず、かといって温すぎず、ちょうど食べごろなのでした。

ピータリン入りお粥とエビ焼売など ピータリン入りお粥とエビ焼売など

肉まんとエビ焼売も外せない

肉まんには大と小があり、煮込んだ肉の中に、ゆで卵の刻んだものが入っています。日本ではまず見かけない組み合わせですが、これが見事なうまさです。次に従業員が竹籠に載せたホッカホカの点心を持ってきます。するとお客は、これとこれというように指差し、小皿がテーブルに並べられていきます。その中でも、僕が最も気に入ったのは、黄色い皮に包まれたエビ焼売です。プッリプリのエビが形がわかる程度に切ってまとめられているのです。こんなエビ焼売は、生まれて初めてでした。値段もほかの点心の3倍と、2個で100円ほどもしました。しかし普通の点心やお粥、肉まんは安いものです。2人で300円程度ですみました。旅先の朝くらい、お茶をお代わりしつつ、店内と通りを眺めて、まったりと過ごしたいものですね。ただし冷房がきいてないので、熱いお茶を飲み、料理を食べると、汗だくにはなりますが……。