なぜインドシナ半島と呼ぶのか?

僕たち日本人は、普通は中学校に入って初めて、世界のことを学ぶようになります。その時出てくるのが「インドシナ半島」という名前です。子供の頃は丸暗記なので不思議にも思いませんでしたが、実際に東南アジアを旅するようになってから、そうだったのかと、妙に納得しました。その名前の付け方です。元はフランスがインドと中国(シナ)の間にあるという理由でつけ(フランス領インドシナ)、それにイギリスが追随、世界標準表記になったようです。ベンガル湾から南シナ海までの間の半島を指しているので、広義では、南に伸びるマレー半島やシンガポールまで含みます。僕が感じたのは、この一帯の料理文化で、インドに近いミャンマーではカレー風の料理となり、中国に近い(こちらはベトナムですね)と、中華料理に近づくことでした。なるほど、、インドシナとはうまいネーミングです。

カレーとラーメンがマレー半島で合体した カレーとラーメンがマレー半島で合体した

マレー人、中国人、インド人が暮らす国、マレーシア

マレーシアのあるマレー半島は、インドシナ半島のほぼ中間に位置しています。この地域には15世紀ころから中国人が植民し、やがてインド人も来て、マレー人を含めて三つの民族が暮らすようになります。マレーの食文化は、香辛料を多く使ったカレー風のものが主流で、移民中国人との間で関係が深まるにつれ、独特の食文化を育んでいくようになります。それが世界遺産の町、マラッカで特徴的な「ニョニャ料理」です。香辛料をふんだんに使いつつ、どこか中華風の味もする、そんな料理です。魚のすり身にココナッツやチリを入れて蒸した「オタオタ」、スパイシーな切干大根のような料理をカップ状の春巻きで包んだ「パイティー」、空芯菜の炒め物も、オキアミの味とスパイシーさが混ざり合った独特なものです。中でも、マレーシアを代表する料理にひろまったのが、「ラクサ(カレーラーメン)」です。カップヌードルとしても、日本でも販売されていますよね。

インドカレーと中華の融合がここにある

中太の麺にココナッツの利いたスパイシーなスープです。具は豚肉、赤貝、エビ、イカ、ゆで卵、小松菜、もやしです。魚介類のうまみとカレーのスパイシーな辛さ、ココナッツの風味と甘さ、日本人では想像できないスープの組み合わせです。なるほどこれが「ニョニャラクサ」。インドと中国の食文化を受け継いだラーメンなのでした。カレーと中華が合わさったらどうなるか? そのひとつの回答が、このラクサには凝縮されています。ラクサには、魚の身がたっぷり入った、酸味の利いたペナンの「アッサムラクサ」、ニョニャよりもカレー風味の強い「カレーラクサ」、ビーフンが主流になるボルネオ島の「サラワクラクサ」と種類があります。訪れた町々でお楽しみください。