自生のチャツラガナ。モンゴル西部では、9月中旬くらいに熟してきます
モンゴルを元気にする不思議な果実、チャツラガナ
モンゴルでもようやく春めいてきました。長く厳しい冬を乗り越え、さすがのモンゴル人も疲労がたまり、風邪を引いたり、体調を崩しやすくなります。そんなモンゴル人の健康維持をサポートすると大人気の果物があります。その名は「チャツラガナ」。英語ではSeabuckthorn。日本では、「サジー(沙樹)」という名前で中国の内モンゴル原産の健康飲料として輸入されている、直径5mmほどの小さな果実。今回は、大地と人を元気にするチャツラガナのパワーに迫ります。
チャツラガナは地元の中小企業や村民有志のNPOなどの目玉商品。写真はモンゴル西部・オブスアイマグ産の人気の濃縮シロップ
逆境に強いチャツラガナで村おこし
チャツラガナは、モンゴルの厳寒地や降水が少ないゴビ砂漠などにも植生分布が広がっているとても丈夫な植物です。種でも育ちますが、きちんと水を与えていれば3〜4年で自分で大地から水を吸い上げ、3〜5mごとに根っこがつながった株で若木が増えていく植林の成功率の高い植物としても期待されています。植林のチャンスは4月下旬と9月下旬の2回。果実は、生食にも適していて、さらにジュースや果実酒を作ったり、種を絞れば良質な薬用にもなる油が取れるという商業価値も高いので、地方の産業品としても大人気です。
自生のものは果実が小粒で酸味が強い。実は身長153cmの私でも手が届く高さにたわわになっています。するどい棘があるので、チャツラガナ摘みの際はご注意を!
栄養バランスのとれたナチュラルヘルシーフルーツ
チャツラガナの小さな実には体によい成分がぎゅっと含まれています。ビタミンA、B1、B2、C、E、Pにベータカロチン、カリウムなどが甘酸っぱい独特のコクがあるジュースに詰まっているのです。実が熟してからもみずみずしいまま樹についています。昔から地元遊牧民たちは、冬に凍ったころに、実をとって、そのまま凍らせたものを生で食べたり、砂糖漬けにして発酵醸造した果実酒、シロップジュースにして利用していました。市場経済化以降、その商品価値も見直されるようになり、国外への製品輸出が増え、各地で栽培化が活発です。
サイハンオボーソムの地元住民は自宅敷地内にチャツラガナを植えて緑化につとめています
環境破壊にも負けず大河を守ったチャツラガナ
モンゴル中央部からゴビ砂漠まで流れるオンギ川という大河がありました。南ゴビアイマグのオラ−ンノール湖が終点。10年ほど前から上流の金鉱山の大量の水消費と森の大量伐採が原因で、川が干上がり、終点の湖は消滅。全長500km弱の流域で川が干上がらなかった村は唯一、ドンドゴビアイマグのサイハンオボーソムだけ。植林したチャツラガナが土壌の水を保ち、川を守ったのです。この村を中心に流域住民が団結。「オンギ川住民運動」という環境NPOを結成し現在もモンゴル国の環境NPOの中心として活躍中です。
オンギ川住民運動の代表・ムンフバヤル氏。彼の母親が中心だった民主化記念の植林活動が、旱魃や金鉱山による環境破壊の逆境でも地元の川を守りました。植林場の下草はゴビ砂漠では貴重な家畜用の干草になります
【関連情報】
■チャツラガナ関連商品
ジュース・シロップ・果実酒・食用油(火傷の塗り薬にも使います)はウランバートル各食料品店ならどこでも入手可能。
■チャツラガナ植林活動
オンギ川住民運動(植林ツアー、砂漠化関係のスタディーツアー協力)
URL:http://www.onggiriver.org/index.php
電話/FAX:976−11−480946(代表:ムンフバヤル Mr. Munkhbayar)
E-mail:ongi@onggiriver.org 、onggi_river@yahoo.com (英語可。ただし返信は時間がかかります。)
日本語でのお問い合わせ:snd48644@nifty.com(モンゴルホライズン)
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