日本の大乗仏教とは異なる上座部仏教の国々

スリランカ、ミャンマー、タイなどの国々で信仰されている上座部仏教は日本の仏教とはだいぶ違います。出家できるのは男性のみ。僧侶は厳しい戒律を守り、妻帯や経済活動が禁じられ、食べ物をはじめ日常必要なものは托鉢など人々の施しによって得ます。僧侶になると人間より一段高い存在となり、民衆から非常に尊敬されていています。ミャンマーは人口の9割が仏教徒で、ビルマ族の男性は生涯に一度は出家・得度して修行しなければなりません。

旅でみたさまざまな宗教と女性の信仰のかたちについて (その2.仏教) 旅でみたさまざまな宗教と女性の信仰のかたちについて (その2.仏教)

女性は仏像に触れられない

仏教思想が人々の生活に根づき、信仰心の篤いミャンマーの人々の信仰の象徴はパゴダと呼ばれる仏舎利塔で、人々は働いて貯めたお金を金や宝石に替えてパゴダに寄進することで功徳を積みます。ヤンゴンのシュエダゴン・パゴダは7トンの金箔と数千の宝石で覆われ、水草の浮島で暮らす人々の風景や水上マーケットで有名なインレー湖にあるファンドーウー・パゴダの五つの小さな仏像は、長い間人々が寄進し貼りつけた金箔によって元の姿がわからないほど。まるで雪だるまのようなかたちになっています。しかし、金箔を貼っているのは男性だけで、女性は仏像に触れることができません。

女系社会なのに信仰上は女性が下に

今にも転がり落ちそうなのに崖っぷちに留まる岩の上に造られたチャイティーヨー・パゴダ、通称ゴールデン・ロック、なんとも不思議な眺めですが、この岩も信者に寄進された金箔が貼られています。しかしここでも女性は金箔を貼るどころかそばに近づくこともできず、離れたところから祈ります。ミャンマーは母系社会で、婿を取ったり家庭の主が女性だったり、他のアジアの国々に比べて女性の地位が高いといわれていますが、上座部仏教の信仰上は男性より一段低いとされ、男性の後ろに下がらねばならないのです。

女性はお坊様に触ったり声をかけてはだめ

同じ上座部仏教の国タイでも、僧侶は一段高い存在として、タクシーやバスの乗車の際も優先されます。女性との交接が許されないので、女性が僧侶に触れたり声をかけたりするのもタブーとされ、タイのガイドブックの注意事項に書かれてあることも多いですね。バンコクの人ごみの中やチャオプラヤー川の混雑したボートでお坊様がそばにいると、うっかり触らないように緊張します。一方、ラオスのルアンパバーンのお寺のお坊様たちは人懐こいというか、お寺を訪れると向こうから話しかけてくるのですが、お咎めがないのかちょっと気になるところです。