エベレスト山麓に暮らす山のスペシャリスト

「シェルパ」という言葉をご存じでしょうか。主にネパールでトレッキングや登山のガイドをつとめ、荷物を運ぶポーターやキッチンスタッフとは明確に区別された山のスペシャリストです。登山の愛好家からは職業名と思われがちなのですが、「シェルパ」は民族の名前。エベレスト山麓に暮らす山岳民族で、民族に誇りを持つ彼らは名前にもシェルパを加えて、「ラム(個人の名前)・シェルパ」などと名乗ることがあります。

ネパールの誇り高き山の民、シェルパ族 ネパールの誇り高き山の民、シェルパ族

エベレストに初登頂したテンジン・シェルパ

もともとは山岳地帯で農業や放牧、交易を営んでいたシェルパ族ですが、20世紀になり外国人のヒマラヤ登山ブームが起こると、高地に慣れ地理にも明るいシェルパ族の能力は高く評価され、登山隊に引っ張りだことなります。その中で山岳ガイドとして活躍するシェルパも現れ、1953年エドモンド・ヒラリーとともにエベレストを初登頂したのはシェルパ族のテンジン・シェルパでした。今もシェルパはトレッキングに欠かせない存在で、逆にこの名が有名になったので、ほかの民族の山岳ガイドもシェルパを名乗ることもあります。リーダーを務める力量のあるシェルパは「サーダー」と呼ばれ、エベレスト登山隊に同行するほどのサーダーになると1度のガイドで貧しいネパール人の1年分ほどの収入を得るとも言われます。

低山の尾根歩きなら気軽に行けるネパールトレッキング

ネパールのトレッキングにはいくつものルートがあって、エベレスト登頂ともなると許可証や高額な入山料が必要ですが、高峰を望みながら尾根を歩くトレッキング程度なら入山料はかからず、日本の里山歩きの経験があれば誰でも手軽に楽しめます。主要なルートは整備されているので、1日、2日の低い尾根歩きならシェルパのガイドやポーターなしでも歩けますが、山の撮影ポイントや動植物をよく知るガイドが一緒だと、より一層安全に楽しめます。なお、いずれの場合も特に女性はひとりの山歩きは避けましょう。シェルパもポーターも男性なので、万一のトラブルを避けるためです。

アンナプルナとエベレスト、おすすめトレッキングルート

初心者におすすめなのは、アンナプルナ山群をのぞむ登山基地ポカラから出発するミニトレッキング。ポカラから展望地ダンプスを往復するコースなら、田畑や村落の風景をのんびり楽しむ里山歩きが楽しめます。エベレスト付近のトレッキングはもう少し本格的で、基地となるルクラやジリからベースキャンプまで歩くルートは人気ですが、冬山や本格的な山歩きの経験がないと難しいでしょう。なお、主立った登山基地にはフリーのシェルパやポーターがいますが、流しのガイドやポーターを雇うことは原則禁止されていますし、中には悪い人もいるので要注意。旅行会社を通じて信用できるシェルパを雇うのが安心でしょう。