「その選曲はなぜ?」旅先の音楽

旅先で自然と耳に入ってくる音楽が、いつの間にかその旅行の思い出のBGMとなってしまうことがありませんか? 私の場合、インドではそのとき流行していたインド娯楽映画の主題歌が、バリ島ではガムランの音色が、脳内でループ再生してしまいます。それにしても、そんなご当地の音楽ならまだいいのですが、「なぜここでいまだにそれを…」と、あまりの“ベタな”選曲に苦笑してしまうことも、ままあるのですよね。

世界に流れる懐メロの数々……

たとえばネパールのカトマンズ、安宿街のタメル地区では、レストランからしばしばボブ・マーレーの『Get Up,Stand Up』や『No Woman,No Cry』が流れてきました。バリ島から、ダイビングで人気の島「レンボンガン島」へ渡ったときは、海辺のレストランにバンドが入ってデレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』を熱唱。クアラルンプールの屋台街、ジャラン・アローで世界各国の旅行者とともにビールを飲んでいれば、流しのおじさんがギターを抱えてやってきて、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』をきわめてヘタクソに歌い上げてくれました。まだまだ、インド北部の山奥の町やパキスタンのラホールなど、各地で似たようなことがありました。ボブ・ディランの『風に吹かれて』やレッド・ツェッペリンの『天国への階段』も高確率です。

懐メロが流れる土地の傾向とは

しかし、その後によく行くようになった香港やシンガポール、台湾などでは、一度もこのような「昔懐かしいけど、ちょっと苦笑してしまう」選曲はありません。また、フランスなどのヨーロッパでもありませんでした。どうも、この懐メロ傾向は発展途上国、しかも“バックパッカーの出没率が高い場所ほど強くなる”ようです。列挙した曲は、いずれも「不朽の名作」です。長旅をするバックパッカーは、いま流行っている音楽よりも、そんな普遍的な名曲に安らぎを覚えるものなのかもしれません。というより、現地の人々が“長期旅行者にきっとウケる”と信じて選んでいるようにも思えます。

旅人の心をくすぐるのが懐メロ

白状すると、私も各地で「いまだにこれですか…」と苦笑しつつ、ちょっとだけセンチメンタルな気分に浸ったこともたしかです。やはり不朽の名作にはそれだけの力があるんですね。とはいえ、いつまでもこのままでは、若者の旅行者にはウケないことでしょう。次に長期旅行に出たとき、バックパッカーの溜まり場にはどんな音楽が流れているでしょう。さて、あなたの旅のBGMは、どんな曲ですか?