「沈没する」ってどういうこと?

長期旅行中のバックパッカーが時々はまり込んでしまうのが、「沈没」と呼ばれる長期滞在です。長い旅を続けていて疲れが溜まったとき、旅への意欲が消耗してしまったときなどに、旅本来の目的を忘れ、ひとつの場所でゆっくり腰を落ち着けることを指します。言ってしまえば旅の間の“中だるみ”のようなものですね。もちろんネガティブな理由ばかりではなく、その町が気に入って長逗留することもあります。一度はまってしまうと、英気を養って再び出発するはずが、なかなか重い腰が上がらなくなってしまうのが「沈没」の危険なところです。

バックパッカーがはまり込む長期滞在、またの名を「沈没」 バックパッカーがはまり込む長期滞在、またの名を「沈没」

「沈没」に適した場所とは

1960年代から70年代にかけて、「ヒッピーの三大聖地」としてインドのゴア、アフガニスタンのカブール、そしてネパールのカトマンズが沈没の地として知られていました。カブールは今では自由に訪れることができなくなってしまいましたが、ゴアとカトマンズは、相変わらず居心地のいい沈没地として人気があります。沈没に適した場所の条件としては、1.物価が安い 2.食べ物が美味しい 3.居心地のいい宿がある 4.飽きさせない魅力のある町 5.面白い旅人が集っている 6.現地の人がイケメンまたは美人、などでしょうか。いまだとネット環境の有無も重要なポイントですね。

人気のある沈没地

これは各人様々ですが、昔から人気が高いのはバンコク、カトマンズ、イスタンブール、ベナレス、中国の大理や陽朔など、物価の安さと食の魅力からかやはりアジアが多いです。ヨーロッパではブダペストやキルギスのビシュケク、それからエジプトのダハブも沈没に適した危険な(笑)町です。アフリカならナイロビ、南米ではボリビアのラパスも人気があります。ヨーロッパでの沈没は物価の高さからなかなか難しいものがありますが、お金があれば南欧のどこかひなびた町で、安いワインを飲みながら、のんびり海を見て過ごしてみたいですね。

沈没イコール暮らすという旅のかたち

急ぎ足で多くの町を巡る旅も刺激的で面白いですが、一ヶ所に落ち着いて暮らすように旅するのもまた、普段の旅とは違った体験ができると思います。毎日同じカフェに通ううちにスタッフが自分を覚えてくれたり、市場で買い物をして自炊してみたり、なんでもない日常の繰り返しの中で、その町に自分が馴染んでいくのを感じます。ちなみに私も、シェムリアプや香港、チベットのラサ、ラオスのムアンシン、そしてカトマンズとポカラで沈没していました。沈没中に知り合った旅仲間とは今でも交流が続いています。最近はフットワークの軽い移動の多い旅行ばかりなので、久々に沈没するような旅がしたいなあと思います。