チベット難民の集落へも行ってみましたが

さて、不思議な滝「パタレ・チャンゴ(別名デビッドフォール)」のすぐそばにはチベット難民の集落があり、手作りのイヤリングなどの土産物を売っていました。最初のポカラ訪問のとき、そこにいた15歳くらいの、目の大きな売り子の少女に話しかけられたことを思い出して5年後にまたそこへ行ってみました。するとあの目の大きな少女が、前とまるで同じように土産物を並べて観光客に声をかけていたのです。時間を一瞬で飛び越えるような彼女の変わらなさにはショックを受けました。

旅の楽しみ方のひとつ、それは“再訪”(後編) 旅の楽しみ方のひとつ、それは“再訪”(後編)

言い知れぬ感慨が押し寄せたひととき

2回のネパール旅行の間の5年間は、私の人生の中でもかなり激変のあった年月でした。初めの旅行のときは学生だったのが、就職して結婚して子供が二人生まれて、と環境が変わっていました。「しかしあのチベット難民の彼女は、5年間ずっとあの軒先に座り続けていたんだろうな。」そう思うと感慨が押し寄せてしまい、彼女が私を覚えているはずがないのに、そそくさとその露店の前を通り過ぎてきたのでした。

5年前と同じゲストハウスに泊まってみると

この他にも、ポカラで泊まったゲストハウスにまた泊まって、オーナー家族の皆さんと再会したりしました。ゲストハウスのご家族は、5年のうちにやはりいろいろ変化を遂げていました。お父さんは心臓の病気であまり働けなくなった。お母さんはずいぶんおばあさんになった。長男次男はブリティッシュアーミーに入ってもう家にはいなくなった。長女は結婚。5年前には子供っぽかった次女が今ではすっかり頼りがいのある女性になっていて、宿を切り盛りしている……5年前にほんの何日かお世話になっただけのゲストハウスでしたが、再訪することで遠い親戚のような気分になったのです。

“再訪”は旅の動機付けに最適

この、5年越しで2回のネパール旅行の経験から、私は「同じ場所を再訪するのは旅の楽しみ方の一つの形だ」と思うようになり、以後いろいろな国を何度も訪れる旅をしています。3回チャレンジしてなぜか3回とも入場できないままでいるミュージアムもあります(私の場合、パリとシンガポールにあるのです)。「次もまた行こう!」という動機付けがあれば、くりかえし訪れても、旅はいつでも新鮮なままであることでしょう。あなたは開拓派、再訪派、どちらの旅人でしょうか?