パキスタンの結婚事情とは?

結婚する相手は親や親戚が決め、その相手とは結婚式当日まで一度も会うことがない。そんなことは今の日本ではちょっと考えられませんよね。しかし、パキスタンでは現代でもめずらしくありません。私は学生のころに行ったパキスタンのラホールで、たくさんの若い男女と知り合いました。当時、恋愛や結婚にロマンチックな希望を抱いていた私は、何もかもが日本の常識とちがうパキスタンの結婚事情にただ驚いたのです。

パキスタンの若い男女と交流して知った、かの国の結婚事情(前編) パキスタンの若い男女と交流して知った、かの国の結婚事情(前編)

いとこ婚が推奨されるパキスタン

私がラホールで長く滞在していたお宅は、なかなか暮らし向きのよさそうな中流家庭のおうちでした。そこの奥さんは21歳で、25歳の男性と1年前に結婚していました。彼らはいとこ同士です。いとこ同士の結婚は、パキスタンでは非常に多いのです。パキスタンでは、血縁が濃いことは血族の結束を守れるため、喜ばれる傾向があります。旦那さんはやさしくてジョークが好きなハンサムさん、奥さんはぽっちゃり美人でやっぱりジョーク好きな女性でした。彼女は、私に何度も自分の結婚式のホームビデオを見せるのでした。

パキスタン版「角隠し」の下の暗い表情はなぜ?

ビデオの中で、結婚式には大勢のお客さんが詰めかけており、彼女は金色の豪華な婚礼衣装を着て、終始無表情でうつむいています。お客さんたちがみんな笑っているのと対照的です。「ねえ、この衣装キレイでしょう?」彼女は私に豪華な衣装の映像を見せたかっただけのようですが、私は彼女の表情にまったく笑顔がないことが気になりました。せっかくの花嫁さんが、ほとんど結婚を悲しんでいるようにさえ見えます。他の人に聞くと、花嫁は結婚式の場であまりはしゃぐのは慎むべきだということでした。それにしてもこの表情は……ふだんは明るくてよく笑う人なのに。尋ねてみると、どうも親同士に決められた結婚が不安だったようです。

新婚初夜のベッドルームに込められたメッセージ

初夜のために飾り付けられたベッドルームの映像にも、ビックリ仰天しました。色とりどりの紙で作った花が壁中に貼られ、ダブルベッドには天蓋がついていて、その天蓋から金モールの鎖が垂れ下がっています。この飾り付けのままのベッドに数日間は寝ないといけないそうです。なにもここまで周囲が盛り上げなくてもいいのでは……と首をかしげますが、どうも新婚当初は力一杯盛り上げるのが決まりのようです。パキスタンでは多産の女性が歓迎されるので、結婚したら速やかに子づくりに取り組むのがいいわけです。このベッドルームの盛り上げようは、そのわかりやすいカタチだったのですね。(後編に続く)