歌を教えてと言われたら、なにを選択しますか?

外国人から「日本の歌を覚えたいから教えて」と頼まれたことはありませんか?もしその相手が日本語を少しも知らない人だったら、教えるのは簡単なことではありません。なかなか覚えてくれずに困った経験のある人もいるでしょう。そんなときは、へたに流行中のJ-POPなどを教えようとしても混乱するだけです。実は“童謡”が、お互いにとって一番賢い選択かもしれません。

異文化交流には歌。中でも童謡は最適 異文化交流には歌。中でも童謡は最適

童謡が最適な二つの理由

その理由の一つは「ポピュラーだから」。J-POPは当然としても、いかにも日本的と感じる演歌や民謡でも、世代によっては知らないということがありますが、童謡は日本での浸透度合いが段違いです。もし歌を覚えた外国人が別の機会にその歌を日本人に披露したとき、“ウケる”確率が高いのは童謡です。もう一つの理由は、童謡は一つの音符に一つの歌詞の音が乗るものがほとんどで、日本語を知らない人間にもきわめて覚えやすいということです。どんなにミスチルがいい歌であっても、一つの音にあんなに歌詞を詰め込まれては覚えづらいですよね。

イスラムの女性たちの前で披露したのはこの曲

パキスタンのラホールで、民家にしばらく泊まっていたことがあります。その家の女性たちは、外国人女性である私を歓迎して、民謡や映画音楽の歌と踊りを披露してくれました。それから「今度はあなたが歌って!踊りがついているのがいいわ!」と私に矛先が向き、迷ったあげく『大きな栗の木の下で』を実演しました。幼児のように両手を曲げたり伸ばしたりしながら歌うのはとても恥ずかしいものでしたが、女性陣は大喜び。「もう一回やって!もう一回やって!」と、数えきれないほどくり返しをさせられました。

童謡が言葉や習慣の壁も越える?

その当座は「こんな子供用の歌と踊りのなにが楽しいんだろう?」とこちらが飽き飽きしていましたが、閉鎖的な社会で暮らす彼女たちにとっては、初めて耳にする日本のメロディーやシンプルで覚えやすい踊り、そして日本人女性からそれを習うという時間が、きっととても楽しく心地よい時間だったのでしょう。異文化コミュニケーションというと堅苦しいですが、童謡を介してすてきな思い出を共有することは、誰にでも簡単にできる交流体験といえますね。