「ウィリアム・ファークァー・コレクション」

「ウィリアム・ファークァー・コレクション」は、ファークァーがマラッカ(現在のマレーシアの都市)に駐在していた1803〜1818年に描かれたものです。ラッフルズより年長で、マレー半島での経験も長かったファークァーは自然観察に関心があり、仕事の傍ら、熱帯の珍しい動稙物を記録し、地元の画家を雇って水彩画を描かせました。写真がなかった当時、精密な絵が記録に役立ったからです。画家たちは、当時マレー半島にいた中国人ということのほかは詳しいことがわかっていません。水彩を使っていますが、中国の伝統的な画法を用いているそうです。学会に報告して、生物学者に種を特定してもらうとか、新種を発見してもらう目的があったため、イメージ・イラストではなく、細かい特徴を押さえた写実性が必要でした。コレクションの絵画は、とても細かく写実的です。

珍しい動物を絵で紹介 シンガポール国立博物館「ファークァー・コレクション」(後篇) 珍しい動物を絵で紹介 シンガポール国立博物館「ファークァー・コレクション」(後篇)

マレーバクを西洋世界に紹介

ファークァーが住んでいたマラッカの屋敷には、豹や虎、山猫、猿など多くの動物が飼育されていました。ファークァーは特に鳥に関心をもっていたそうです。動物の中には生後6か月のマレーバクの子どももいて、背中の斑点がなくなって成長するまでのファークァーによる記録が残っています。どんな野菜でもよく食べること、犬のようによくなつくこと、食卓に来てはパンや焼き菓子のようなものを与えると喜んで食べることなどが書かれているそうです。ファークァーは、本国やインドの王立アジア協会などに数多くの動植物の標本や観察記録、絵を送っています。このコレクションに含まれている水彩画の何点かも、学術報告に用いられました。熱帯に属する東南アジアの珍しい動植物を、西洋世界に紹介したことになります。

シンガポール国立博物館

1887年にできたシンガポール国立博物館は、シンガポールでもっとも古く、また最大の博物館です。19世紀に建造された美しい建物も鑑賞の価値があり、結婚記念の写真撮影の場としても地元の人に人気があります。改装を経て2006年に再オープンしてからは、「ゴ―・セン・チョー・ギャラリー」のほか、「ヒストリーギャラリー」、「リビングギャラリー」など6つの常設ギャラリーがおかれていて、シンガポールの歴史やくらしを知るのに役立つ企画が展示されています。

関連情報

シンガポール国立博物館 (National Museum of Singapore)
住所 93 Stamford Road, Singapore 178897
開館時間 10:00〜18:00 
入館料  6ドル