シンガポール、チャイナタウンのモスクへ

シンガポールの魅力の一つは、多民族がごくせまい土地で共存していることです。たとえばチャイナタウンにあるジャマエ・モスク(マスジッド・ジャメという呼び方も)。シンガポール初心者には、「チャイナタウンに、どうしてモスクが?」と不思議に感じるかもしれません。そこがシンガポールの楽しいところ。同じサウスブリッジロードの数軒先にはヒンドゥー教寺院があり、さらに少し先には仏教寺院が並ぶという具合です。

シンガポールのモスク、ジャマエ・モスクで親切に感激 シンガポールのモスク、ジャマエ・モスクで親切に感激

ムスリムでなくても見学自由の時間帯には入れます

シンガポールには他にもいくつかモスクがあり、私もそのほとんどを訪れてきましたが、このジャマエ・モスクはとくに印象深い見学となりました。ペパーミントグリーンのかわいらしい外観です。間口はせまく、門をくぐって中に入ると、豪華絢爛な建築とはほど遠いものの、落ち着いた雰囲気にほっと一息つけます。ここにたくさんの啓蒙ポスターが貼ってあり、一つ一つが大変おもしろいのでした。

掲示されているポスターがどれもおもしろい!

たとえば、「ムスリムはイエス(キリスト)のことをどう考えているのでしょうか?」と題して、「キリスト教と敵対してはならない」という主旨のことがわかりやすく解説してあったり、死後の世界や体の健康について、ユーモラスなイラストを交えながら書かれていたりします。私がいちいち感心しながら興味深く読んでいると(英文なので苦労していたともいえますが)、奥の事務所からいつの間にかこの寺院の人が出てきて、案内をしてくれました。やさしくて紳士的、しかもハンサムなそのお兄さんは、なんと日本語の立派な解説書まで持ってきてくれました。

案内の青年と楽しく会話

その本の奥付を見ると、発行元は我が家の近くにある「イスラミック・センター・ジャパン」だったのです。「わあ!この本を作っているのは、うちのすぐ近くなんですよ!」と興奮して彼に言うと、とても喜んでくれ、お土産に解説本だけでなくミネラルウォーターまで持たせてくれたのです。他にも次々と見学者がやってきては去って行くのですが、そんなにいろいろしてもらったのは私だけでした。やはり、イスラムに対して素直に関心を持っているという態度が伝わったからでしょう。

いい出会いは、いい思い出になります

その交流は、長い旅の中のほんのひとときでしたが、とてもいい時間でした。「ムスリムは外国の人間に対してもきちんと布教活動をしていてえらいなあ……」。これ以降、ますますモスク見学が好きになりました。このジャマエ・モスクは、1826年に南インドからやってきたタミル人たちが建てた、シンガポールで最も古いモスクのひとつです。南インドらしい素朴さが、外国人にとって親しみやすいことも魅力だと思います。他の宗教施設同様、礼節をもって見学してみましょう。