熱心な仏教徒のおじさんが話しかけてきました

私が呆れてしばらくこの「仏牙」を眺めていると、中国系の小柄なおじさんが、「日本人?あなたは仏教徒か?」と話しかけてきました。「そうです。」と答えると、おじさんは喜んで、拝み方などを熱心に教えてくれました(私は特定の宗教を信仰してはいませんが、海外では仏教徒だと言うことにしています)。彼は非常に信心深い人のようで、ここにもしょっちゅう来ている「常連」だということです。ブッダについて、堪能な英語で説明してくれるのですが、私のリスニング能力では話が半分くらいしかわかりませんでした。

シンガポールの仏教徒が集う「新加坡仏牙寺龍華院」で、仏歯(!)を見た(後編) シンガポールの仏教徒が集う「新加坡仏牙寺龍華院」で、仏歯(!)を見た(後編)

仏様の「歯」の説明も!

それでもおじさんの親切心がうれしいのでにこやかに説明を聞き、ちょっと意地悪な質問をしてみました。「ところで、この歯はいやに大きいですよね。歯にしては大きすぎやしませんか?」するとおじさんは、柳に風の柔軟な態度で、「それはね。ずっと昔の時代は、今の人間と体のサイズがちがうからだよ。非常に大きくて、非常に強かったんだ。1000年昔にはね。」と、強靭な肉体を誇るようなジェスチャーを交えて教えてくれました。「1000年で人間の体格ってそんなに変わるんですか。日本でいえば1000年前は平安時代。ブッダは1000年よりもっと前の人だったんじゃないんですか?」と、さらに突っ込む……なんていう野暮なことは、もちろんしませんでしたよ。「ほう!そうだったんですね!」と私が笑いながら驚いた表情をすると、おじさんは満足して去っていきました。

楽しい出会いがあれば旅は成功

「私は結局、こんなちょっとした会話を人としたくて、旅をしつづけているのかもしれないな。」目もあやな仏教美術や壮麗な寺院の建築に驚嘆した見学でしたが、あとになって思い出すのは、信仰心の深いおじさんとの会話でした。こういう新しいお寺は、「カネに飽かせてお宝を集めている」「日本人が求める“わびさび”がまるでない」と敬遠する人も多いようですが、最後に印象を決定するのは人との出会い。旅に出て、いい出会いをたくさんしてください。