シンガポールには宗教施設がいっぱいです

1年中、高温多湿のシンガポール。せっせと観光に精を出していると、たちまち汗まみれになってしまいます。そんなとき、私はしばしばキリスト教会やモスク、ヒンドゥー寺院などの宗教施設に入って一息入れます。シンガポールの宗教施設はただの旅行者、しかも異教徒でも、中に入れるところがほとんどです。今回は、そのうちのひとつ「セント・アンドリュース教会」をご紹介しましょう。私はそのときちょうど美術館巡りでクタクタに疲れていて、堂内のベンチにしばし座って一休みしたかったのです。

シンガポール、セント・アンドリュース教会での出会い(その1) シンガポール、セント・アンドリュース教会での出会い(その1)

都心部の心安らぐ大聖堂へ

そんな不信心な私ですが、この教会に来たもう一つの目的は、特徴的な建築にありました。特殊な工法を用いているという「壁」を、見てみたかったのです。セント・アンドリュース教会は、1856年〜63年にかけて建設された、典型的なネオ・ゴシック様式の白亜の大聖堂です。MRTシティ・ホール駅を出てすぐという都心部にありながら、ここには静謐な雰囲気が漂っています。礼拝堂内のステンドグラスは、イタリアから運ばれた逸品で、多くの観光客はこの美しいステンドグラスを見るためにここを訪れています。さて、ステンドグラスに感動したあとは、ぜひ堂内の壁にも注目してみましょう!

真っ白な壁に使われる素材とは……?

真っ白な壁は、まるで作り立てのようにピカピカ。この仕上げ塗装は、インド人職人の手になるものなのです。その材質とは、なんと「貝殻、砂糖、卵白」。貝殻を焼いて粉末状にし、卵白と砂糖と水を混ぜ(お菓子作りではないですよ!)、壁にコーティングを施しているのです。こんな素朴で地道な工程を経てこその“輝き”。これが見たくて、私はここに来ました。「マドラス・チュナム」というインドの伝統的な工法を、シンガポールでも見ることができて、えも言われぬ幸福感を味わいました。多民族国家シンガポールでは、思わぬところでその奥の深さを知ることができます。(その2に続く)