動物に触れる感動体験(ただし自己責任で)

その3からの続きです。さて、このフラジャイル・フォレストは、午前中の給餌タイムを狙うのも楽しいのですが、実は閉園間近の夕方遅めの時間帯に訪れるのが、私のおすすめです。なぜなら、この時間だと見学者がだんだんと減ってくるため、動物たちがよりゆったりとくつろいだ様子を観察できるからです。私は、なんとフルーツを無心に食べているオオコウモリと、ワオキツネザルに触ることができました。両方とも目がキョロキョロとして愛らしく、ふわふわの毛並みにうっとり! 日本の動物園では、動物に触れることができるのはせいぜいウサギやモルモット、ヒツジなどの決まった動物だけですよね。まるで夢のようなひとときでした。ただし、万が一ひっかかれたりしないとも限らないので、自信のない人はやめておきましょう。

ワオキツネザルは人懐っこいのです ワオキツネザルは人懐っこいのです

予定通りに見られなくても気にしないで

最後に、ちょっとしたアドバイスを三つ挙げます。一つ目は、「ガイドブックはあくまで目安と心得る」こと。なにしろ相手は生き物ですから、行ってみると病気などの理由や、すでに死んでしまって見ることができなかったり、エリアを移動させられて、別の場所にいたりすることもあるのです。また、いくつも用意されているショーも、そのときに応じて内容が少し変更されていることがあります。

魚影にもギョギョッとするかも?

二つ目は、「水の中にも目を凝らしてみて」。動物園は、ついつい目先の視点が高くなりがち。けれども、園内に設けられた小川や池の中には、カメなどおなじみの生き物はもちろん、見たこともないような形をした、大きな魚の影が見えたりします。何もいないと思っていると、ひっそりガビアルモドキ(マレーガビアルとも。ワニの仲間)が伏せていてギョッとしたり。本当にこの動物園は、どこで動物に出会えるかわからないというくらい、種類豊富な生き物が飼育されているのです!

あえて視点を転じてみてください

三つ目は――これは私が実際に行ってみてとりわけ強く感じたことですが――あえて、「動物以外の風景も見てほしい」ということです。この動物園は、中心部から大きく外れた「中央集水自然保護区」の中にあります。周りをセレター貯水池という広大な人口湖に囲まれているのです。トラムカーに揺られて、動物たちからふと目を離して遠景を見渡すと、湖面に張り出すように、密度の濃い緑が静かに横たわっています。その風景は、まさに原初の自然を思い出させ、都市国家シンガポールのもともとの姿も思い出させるのです。

シンガポールへの理解が深まります

絶滅寸前の珍しい動物たちを目の前に見て、ショーや餌やりを楽しみ、「オープン・システム」という動物園の未来形を体験する、すてきなシンガポール動物園。その施設そのものと周りの風景を同時に見ることで、より深く、シンガポールという国と、生き物や自然に対する理解が深まることでしょう。「今さら海外旅行に来て動物園なんて」と思わず、ぜひ行ってみてください。