あふれる花々と、脳内快楽物質!

その2からの続きです。展示室は、まず「自然」のブースからスタートします。「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる」「増殖する生命」「境界のない群蝶」の部屋は、入った瞬間に脳内が快楽物質で満たされていく空間です。入場者の動きを感知して、デジタルの花が開いたり散っていったりをくりかえし、それは永遠に尽きることがありません。数え切れないほど国内外でチームラボ作品を見てきた私ですが、作品の中に入ったときの、ドドッと快楽物質が流れ出してくる瞬間がたまらないのです。何度見ても、いつも初めて見たときの快感、いえそれ以上の快感を覚えてしまうのです。人々の口からは、ため息と「beautiful……」といった言葉が漏れていました。

「光のボールでオーケストラ」という作品 「光のボールでオーケストラ」という作品

寝そべって鑑賞するのも自由なコーナー

続く「百年海図巻 アニメーションのジオラマ」は、気候変動によって海の水が上昇していき、やがては……という約10分間のフィルムですが、このコーナーには寝心地のいいマットレスがいくつも置かれていて、観客は揺らぎ続ける海面の風景を、思い思いの姿勢でゆったりと眺めることができます。絵のイメージは、まるで屏風絵のようです。

デジタルを信じているからこそできること

手法は完璧にデジタルなのに、見る者に与える印象は、あくまでも日本画のタッチ。そして内包するテーマは、地球環境……、さすがです。私は「自然」のブースで、このようにメモしました。“チームラボは目を開いて見る、醒めることのない夢。決して止まる瞬間がなく移ろい続ける、自然の似姿。陶然とし、胸が締めつけられ、かなしくさえなってくる”。もちろん英語の解説文はありますが、鑑賞する人々は、言葉ではないメッセージをそれぞれが受け取っているように見えました。

「自然」から「街」へ移動します

滑り台を滑って、「街」へと滑り降りましょう(滑らなくても次のブースへは行かれますが、気分が盛り上がります)。遊びを通じて学ぶことを自然に覚えていく、5つのプロジェクトに参加しましょう。これは、日本でも各地で開催されている「学ぶ! 未来の遊園地」のプロジェクトです。中でも「お絵かきタウン」の画面に現れる架空の街は、よく見るとシンガポールではありませんか。東京で開催されたときには東京の建物が描きこまれていましたが、ここではしっかりとマーライオンやマリーナベイ・サンズのホテル、そしてこのアートサイエンス・ミュージアムもばっちり。こんな演出が心憎いのですよね。「ぼくのまち、わたしのまち、シンガポール」と、子供達の心にしっかり刻まれます。(その4に続く)