スカイウォークからの眺めは絶景

2015年に新しくできた「シロソ砦スカイウォーク」を歩きながら、ゆっくりと左右の風景を見渡しましょう。晴れていれば、シロソ・ビーチはもちろん、はるか沖合いまで並んで浮かぶタンカーや、未来都市を感じさせる大規模コンドミニアム「リフレクションズ・アット・ケッペルベイ」が見渡せます。躍進する“今”のシンガポールの姿に目を見張りつつ、向かう先は戦争遺跡。この遊歩道は、まるで過去へ続くタイムトンネルのようです。

豊富なマネキン展示がかなりリアルです 豊富なマネキン展示がかなりリアルです

読みにくいけど読みこなすことがミッション!

シロソ砦の展示は、そのほとんどに日本語の懇切丁寧な解説文がつけられています。これが展示の理解にきわめて役立ちます。しばしば、「シロソ砦」が「シロン砦」になっていたり、「っ」が「つ」になっていたり、その他の表記上の間違いはいくつかあります。加えて、翻訳の文章自体がこなれておらず、しばしば読解不可能と思えるほど難解な文があったりします。そんな不便さがあってもなお、ここへ来たからには、この解説は隅から隅まで熟読することをおすすめします。それは、イギリスでも日本でもない、植民地・シンガポールの立場からつけられた解説文だからです。

冷静な解説という印象を受けます

私は各国で戦争遺跡を訪ねていますが、とくに日本に侵略された場所では、日本軍をまるで鬼のように描いていることがしばしばあります。それもその国が見た歴史なのでしょうが、正直なところ「参ったな……」とつらくなってしまいます。このシロソ砦の展示は、日本軍に対してかなり客観的な解説だと感じられました。たとえば、1940年当時、近衛公爵の内閣が初めは“可能な限り、和平的手段によって極東のヨーロッパ植民地の支配権を獲得するべく努力していた”といった記述は、「日本軍憎し」という単純な考えでは書けるものではありません。

日本軍について丁寧に描かれています

また、ハーバード・バシャムという、英国海軍に所属していた電気配線工が、日本の敗戦後にジャングルの中で“切腹による名誉の自害を遂げた日本軍兵士の遺体を発見し”、“ショックを受けました”という記述もありました。戦時中の日本軍の強さについても、“彼(プルフォード空軍少将)が率いる「ブルーザー・バッファロー(逞しい水牛)」は日本軍ゼロ戦飛行士の敵ではありませんでした。」とあります。淡々と、どちらにも偏らずに事実を記している姿勢に好感を持てます。(その3に続く)