「Voices of Singapore」は必見ですが……

その2からの続きです。シロソ砦は山の斜面に築かれた要塞の跡地で、決して広大な土地ではありませんが、その構造は複雑なものです。屋外展示には大砲や見張り台、砲手シェルターなどがあります。屋内展示室として使われている「Fort Siloro Square」という建物は、シロソ砦の存在と歴史を学ぶ展示施設です。この地下にシンガポール陥落当時の、人々の声を再現した通路があります(Voices of Singapore)。シロソ砦の中に、地下通路を利用した展示は他にもありますが、ここはひときわ暗くて、かなり恐ろしいです。怖がりの人は、一人ではきついかもしれません。

“シロソ”は“嫉妬深い人”という意味だそうです “シロソ”は“嫉妬深い人”という意味だそうです

怖いけれどやっぱり通ってみてください

お化け屋敷のような細い通路は、曲がりくねっています。そこに、ぽつぽつと、往時のシンガポールの写真が展示されています。天井に取り付けられたセンサーで人が通りかかることを感知し、その写真に合わせた「証言」のような声が流れます。残念ながら言葉はわかりませんが、この通路の暗さと展示方法は、シンガポール陥落当時の雰囲気を伝えるには十分な演出となっています。

歴史を見つめる体験ができます

また、「Bトンネル」横の道沿いにある別の展示室は、日本占領下に入ったシンガポールの様子が展示されています。日本語の強制や日本の風習を強要したことなどが描かれ、ここが日本人としては最も見るのが苦しい展示になるでしょう。しかし当時の豊富な資料(日本語教習所での「修了証書」や、統治下で作られた新しい貨幣など)は見る価値があります。この他、イギリス軍兵士のシンガポールでの生活の様子や、1942年のイギリス軍降伏文書調印式と1945年の日本軍降伏文書調印式の再現ジオラマも必見です。蝋人形がどっさりで、初めは「たかだか人形」と思っていても、見入っているうちにだんだんと「歴史の大きな転換点となる場に立ち会っている」かのような気分になってくるから不思議です。

セントーサ島に砦があることの妙味も感じる!

見どころだらけのシロソ砦。日本とシンガポールが、こんなふうに因縁のある歴史を刻んできたのだ、と知ることができる戦争遺跡です。見落としのないよう(ちょっと読みづらい解説文も読むために)、ぜひたっぷり時間を取ってお出かけください。見学を終えて、バス停のあるシロソ・ポイントまでの道は、スカイウォークの麓の野道を歩くのもいいですよ。ここはシロソ・トレイルという自然観察スポットになっています。私も、きれいな蝶やトンボの姿に和みました。そうして再びセントーサ島のリゾートムードの真っ只中に舞い戻ると、本当に、時間旅行をしてきたような気分になりますよ!