洞窟にところ狭しと横たわる涅槃仏

黄金寺院は第1窟から第5窟までの五つの洞窟から成り立っています。入ってすぐ右手の第1窟は「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」と呼ばれ、14メートルにも及ぶ涅槃仏が狭い洞窟内に安置されています。紀元前1世紀にインドからやってきた、スリランカ建国の王ウィジャヤの手が真っ赤だったことにちなんで、この涅槃仏の手のひらと足の裏は真っ赤です。この第1窟の横にあるのがヒンドゥー教の神様ヴィシュヌを祀っている祠。仏教的な世界観の中に、ヒンドゥー教や土着の信仰が入り混じり、スリランカの宗教観を表す一例とも言えます。

洞窟にあふれる篤い信仰 おすすめの世界遺産「ダンブラの黄金寺院」(後編) 洞窟にあふれる篤い信仰 おすすめの世界遺産「ダンブラの黄金寺院」(後編)

56体もの仏像と壁画に圧倒される「マハー・ラージャ・ヴィハーラ」

次は「偉大なる王の寺院」との名称を持つ第2窟。壁や天井に描かれているのは、仏陀の生涯や戦争といった、スリランカの歴史をモチーフとしたフレスコ画。シンプルながらも生き生きとした描写で、楽器を演奏する人や象なども見ることができます。56体の仏像にまじって、仏像以外の人物の像がありますが、これはこの洞窟を造ったと言われるワラガムバーフ王の木像です。

聖水したたるパワースポット!?

この第2窟では天井から湧き水がしみ出て、ポタポタと滴り落ちています。この水は聖なる水とされて、水の落ちる所には壷が置かれて貯められています。仏教儀礼の際には僧が飲み、これを飲むと何も食べなくても数日間は過ごせるとのこと。壷には柵が取り付けられていて、その力にあやかることができないのは残念ですが・・・。ちなみにダンブラとは「水の湧き出る岩」という意味で、この第2窟がその名前の由来となっているのです。

拝観マナーには気をつけて!

第3窟から第5窟も、小さいながら仏像や洞窟一面に描かれたフレスコ画を観ることができます。壁や天井一面に描かれた仏画と安置された仏像。視界一面に広がる仏教世界に、スリランカの人々の信仰心の強さをひしひしと感じます。しかし、残念ながら、過去には仏像の手のひらに腰をかけて写真を撮って捕まった外国人もいたそうです。そのことで仏像の法力が失われ、わざわざ塗装をはがして新たに塗りなおしたとのこと。世界遺産に登録されてもなお、この寺院にはお参りに来る人々が絶えません。信仰の場であるということを忘れることなく、マナーを守っての見学は旅人としての必須事項。親日家も多いスリランカの人々をがっかりさせることなく、素敵な旅をしたいものですね。