スリランカの仏教遺跡を覚えておこう

アジアの仏教遺跡で、まずはどこが頭に浮かぶでしょうか? 開祖ブッダにまつわる北インドの各地でしょうか? あるいは世界最大の仏教遺跡であるカンボジアのアンコールワット、はたまたインドネシアはジャワ島のボロブドゥールでしょうか? 日本人の頭の中にあるアジアの地図の範囲は、こんな感じではないでしょうか? 事実、僕もそうでした。スリランカが仏教の人が多く、仏教遺跡もあることは知っていましたが、どうにも思考回路の中で、ほかの有名仏教遺跡とは結びつきを感じられなかったのです。ところが行って、見て、驚きました。スリランカを見ずして、ボロブドゥールもアンコールワットも語れないと思わされたのです。ここは上座部仏教の元祖とも言えるところだったのです。

アヌラーダプラ遺跡を歩く観光客と、物売り アヌラーダプラ遺跡を歩く観光客と、物売り

仏教が運んできた技術とは何か?

スリランカに仏教が伝わったのは、紀元前3世紀。シンハラ王デーワーナンピヤティッサが、シンハラ王国の都アヌラーダプラ近くの山で、仏教を信奉していたインドのアショーカ王の王子マヒンダと出合い、仏法に帰依したことが始まりとされています。北インドを中心に、今に残る仏教遺跡の多くは、このアショーカ王時代に起源を持ちます。そう、仏教が北インドからスリランカまで南下したのです。そうして大きくなっていったのがアヌラーダプラの町でした。この時、仏教と一緒にもたらされたのが稲作の技術です。稲作は、水を管理できるかどうかがとても重要で、雨が降り過ぎてもいけないし、降らないのも困りものです。日本に育った僕たちならば、感覚的にわかることですね。

3世紀の仏塔ジェータワナ・ラーマヤ 3世紀の仏塔ジェータワナ・ラーマヤ

上座部仏教の遺跡に共通する稲作技術

いかに水をコントロールするのか。そのためにはまず池を作ります。池に水を溜め、灌漑設備を作って、田に水を送り込むのです。池があれば、雨が降った時に水を貯え、日照りの時期にも水を供給できるのです。日本でも田の近くに池があるのはそのためなのです。アヌラーダプラにも巨大な貯水池「ティッサ・ウェア」などがあります。この池がシンハラ王国の稲作と、稲作による繁栄を支えたのです。ボロブドゥールは盆地に位置し、近くを川が流れています。周囲の山々からの治水を整備したのではないでしょうか。アンコールワットは、寺院が池に囲まれて、それ自体が巨大な貯水池の役目を果たしていたのです。寺院と池のセットこそ、仏教と稲作の切っても切れない関係を表しているのです。その元祖を見られるのがアヌラーダプラです。上座部仏教は、この都から東南アジア各地にもたらされたのでした。アヌラーダプラ、ぜひ見ておきたいものですね。

ティッサ・ウェワは庶民の水浴び場にもなる ティッサ・ウェワは庶民の水浴び場にもなる