台湾の建築を調べているうちに……

日本から最も近い外国の一つである台湾には、日本人建築家の作品がたくさんあります。私は海外で現代の建築を見るのが好きで、台湾の建築を調べていたところ、「紙の教会」というワードが目に留まりました。まずはそのロマンチックな響きに惹かれ、さらに調べていくうちに興味が募ってきました。詳しい行き方も一切わからないままに、台湾中部の埔里(ほり/プゥリィ)という街まで行ってみることにしました。

台湾中部にある、日本人建築家の「紙の教会」を訪ねよう(前編) 台湾中部にある、日本人建築家の「紙の教会」を訪ねよう(前編)

紙という素材で世界に建築を造る日本人

1995年、阪神淡路大震災が起きたときに焼失した神戸の「鷹取教会」のあとに、建築界の異才・坂茂(ばんしげる)氏が紙の教会を造りました。といっても本物のキリスト教会ではなく、地域の住民が集まる“コミュニティーホール”としての場でした。坂氏は世界各地で紙を使った建築を造っています。「安価で軽く扱いやすい“紙”という素材を使って、被害を被った人々が癒される場を提供したい」という、柔軟で新しい考えを持った坂氏の紙の建築は、ルワンダやトルコやスリランカなど各地で仮設住宅やシェルターとして実現化されているのです。

台湾中部の埔里も地震で被災しました

神戸の紙の教会は、1999年に起きた大地震により被害を受けた台湾中部の埔里へ移設されました。移設に伴い、この自然豊かな地域をまるごと見学園区としても整備し、2008年に「PAPER DOME 新故郷見学園区」という名称で正式オープンしました。埔里までは、高鉄台中駅から6番のバスに乗って50分ほど内陸へ入ります。台湾のちょうどまんなかに位置する、こぢんまりとした街です。埔里近郊の一番有名な観光地はなんといっても日月潭。埔里から日月潭へ行くバスルートの途上に、「紙教堂」というバス停があるので、そこで降りて、案内板をたどって数分歩くと到着します。

いよいよ憧れの紙の教会へ!

行ってみると、思っていたより広々としていてきれいな公園になっていることにまず感心しました。「紙の教会(ペーパードームとも。現地語では紙教堂と呼ばれる)」は、雨に濡れないようにアルミとアクリル板のケースの中にすっぽりと入っています。紙といってもぺらぺらの紙ではなく堅牢な紙管ですが、触ってみると、柱もベンチもやはり本当に紙なのです。(後編に続く)