温泉天国の台湾で娘が選んだのは瀧之湯

台湾の新北投温泉は、台北から気軽に日帰りできる温泉地として人気があります。超高級から庶民向けまでさまざまなタイプの温泉施設があり、私も中学生の娘と二人の台湾旅行では「どの温泉に行ってみる?」と調べていました。もともとが銭湯好きで、高級感より素朴さを好む性格の娘は、迷わず「瀧之湯(ロンナイタン)」という公共浴場を選びました。

台湾・新北投温泉の公共浴場での、シビアなヒトコマ 台湾・新北投温泉の公共浴場での、シビアなヒトコマ

地元情緒たっぷりの公共浴場

ここは昭和天皇が皇太子時代に訪れたこともあるという歴史ある公共浴場ですが、新北投温泉きっての庶民的なお風呂でもあります。ネット情報では「清潔感については日本人には少々キツいかも。他のきれいな温泉に行く方が無難」と書かれていたりします。私と娘はそんなことはまったく平気で入っていきました。まだ午前中というのにすでに地元のおばさんやおばあさんが5,6人います。皆さんあられもない姿でくつろぎ、大きな声でおしゃべりしたり、へその辺りを激しく垢擦りしたり、思い思いに楽しんでいました。

苦行の熱さながらも、がんばって入湯!

シャワーなどというしゃれたものはあるはずもなく、お湯はとにかく湯船から汲むしかありません。これではたしかに、家のお風呂やいまどきのスーパー銭湯しか入ったことのない日本人には厳しいのかもしれないと思いました。そして掛け湯のためにお湯を汲んでみたら、やけどしそうに熱い!歯を食いしばり、掛け湯をしてから湯船に入る私の様子を、常連のおばさんたちはおしゃべりをやめないままさりげなくチェックしているのでした。娘は熱さが我慢できず、最後までお湯を手桶に汲んでは水でぬるくして掛けることしかできませんでした。

場違いな女子めがけて飛んでくる怒声に目が白黒

そこへ日本人の若い女性二人連れが入ってきました。いかにも“女子旅”なその二人は、どう見ても施設の選択を間違えてしまったようで、二人とも「シャワーないの?」「どうする?」と顔を引きつらせています。やがて二人とも、体を流さずにいきなり湯船にジャボンと足を突っ込んでしまいました。「熱い!」と足を引っ込めるよりも早く、地元のおばさんたちの怒声がいっせいに飛んできました!「あんたたち!いきなり入ったら汚いじゃないか!体にお湯を掛けて、きれいにしてから入るんだよ!マナーを守ってくれなくちゃ困るよまったく!」…と、言っていることは、その剣幕とジェスチャーで、私にも彼女たちにもいっぺんにわかりました。二人ともあたふたと手桶で体を流し始めました。

地元の人の感情を害さないように気をつけよう

おばさんたちは私が掛け湯をしているのも見ていたので、何も声をかけなかったということは、私は合格だったわけです。無様な女の子たちの様子は気の毒でしたが、地元のお客さんたちからすれば、私たち観光客は招かれざる人間かもしれません。地元客だけで十分に経営が成り立っていそうなここのような場所へ来たら、よそ者はマナーを守って、お互い気持ちよく使わせてもらいたいものですね。