「ただの駅」と思ったら大間違い。駅そのものが観光スポット

高雄の美麗島駅は、MRT紅線(レッドライン)と橘線(オレンジライン)が交差する乗り換え駅として、地元の人が日々利用している地下鉄駅です。旅行者の間では、この駅はその美しさで有名ですね。アメリカのトラベルウェブサイト「PolicyMic」で、「世界で最も美しい地下鉄の駅」の第2位に選ばれています(2012年)。この駅を訪れれば、素晴らしい装飾に誰もがうっとり。けれども、ここは高雄にとって、ひいては台湾にとって大きな意味を持つ場所なのです。

これがステンドグラスとは……! これがステンドグラスとは……!

「台湾」=「フォルモサ」=「美麗島」です

「美麗島」とは、その名もずばり「台湾」の意味。台湾は、美しい島という意味のポルトガル語「フォルモサ」とも呼ばれています。フォルモサの漢訳が美麗島というわけです。この駅の上を南北に通っている道路「美麗島大道」から、駅名が付けられています。この道路が、なぜ美麗島大道と名付けられたのか? それは、1979年12月10日に起きた反体制運動弾圧事件に由来しているのです。

美麗島駅は六合夜市でも有名ですね 美麗島駅は六合夜市でも有名ですね

70年代の台湾を忘れないための命名でした

この日、中国国民党の独裁に反対する雑誌『美麗島』が主催する民主化要求デモが、高雄で行われました。しかし、主催者や参加者は、当局によって弾圧に遭います。官憲の暴行、逮捕、懲役といった激しい弾圧は、台湾全土に衝撃を与えました。この事件が台湾の人々に人権への意識を向けさせる大きなきっかけとなり、民主化への道を開いていきます。美麗島事件を忘れまいという志のもと、この駅も「美麗島駅」の名を付けられたのですね。

あっけにとられてしまうほどのステンドグラス!

構内のパブリックアート「光之穹頂(光のドーム)」は4500枚ものステンドグラスを使った壮大なスケールのアートです。イタリア人の作家ナルシサス・クアグリアータによるこの作品は、まず色の鮮やかさと規模の大きさに驚くばかり。しかし、しばし眺めているうちに、ただ色が美しいだけでなく、深いメッセージ性が込められていることに気づくでしょう。ドームは「水」「土」「光」「火」の四つのテーマから構成されています。それぞれに込められた意味合いを詳しく知りたい人は、ドーム横の「捷運商品館」で音声ガイドを借りれば解説を聞けますよ。(後編に続く)

いつでも誰かが記念撮影をしています いつでも誰かが記念撮影をしています