泊まること自体が旅の目的になりえるホテル

台湾は、日本からのアクセスのよさで人気の高い旅先ですね。首都・台北には超高級から安宿まで、あらゆるレベルのホテルがそろっています。しかし地方へ足を向けると、ホテルの選択肢はぐっと少なくなってしまいます。今回ご紹介するのは、そんな地方都市のひとつ「台南」にある、おしゃれなデザインホテルです。私はこのホテルに泊まってみること自体を旅の目的の一つとして、台南を訪れました。ホテルの名前は「佳佳西市場旅店(ジャージャーシースィーツアンリュディエン。英語表記ではJJ-W HOTEL)」といいます。

お洒落によみがえった台南のデザインホテルへ お洒落によみがえった台南のデザインホテルへ

日本人建築家も設計に参加!

高鉄台南駅からタクシーもしくは台鉄台南駅からもタクシーという、やや交通の不便な立地ながら、わざわざ来るだけの価値はある個性派のこのホテル。もとはありきたりの、ぱっとしない中級ホテルだったそうです。それが、今をときめく台湾の若手建築家の劉國滄氏が増改築を手がけ、一躍ホットなスポットへと生まれ変わったのです。設計には日本人建築家の藤本壮介氏も参加しています。外観はどちらかというと地味ですが、一歩中に入ると、“建築という体験”の虜になります。

入れ子細工のようなホテルの構造

すぐに気づくのは、新しいホテルを新築するのではなく、以前のホテルの骨格をわざとところどころに残すというやり方です。エレベーターや階段やエントランスの天井など、あちこちに元のホテルの外壁部分や鉄骨がむき出しになっていますが、それらはすべて真っ白に塗りつぶされることで、無残な“取り壊し”から、過去をきれいに清算された“アクセント”として新しい命を与えられています。アクセントとなり得ず見苦しいだけの部分は、ガラスやステンレスなどの光る素材を使って徹底的に隠します。古さと新しさが絶妙のバランスで好対照を成すというこの二重構造により、ゲストは一つの空間の中で、冴えなかった昔のホテルと現在のひたすらカッコいいホテルとの二つの時間を同時に体験できるのです。

不思議な朝食は「デザイン」の一環かも?

朝食は賛否が分かれるところでしょう。ミニサラダやスクランブルエッグなどの洋風なものと、牡蠣の雑炊などの台湾風なものがミックスされた4皿のコース仕立てで、不思議な気合いの入り方は好ましいものの、分量が少なく「結局なにを食べたのかよくわからない」ような気分になる人も多いかもしれません。私は、「とにかく生活感ゼロでおしゃれにしたい!」という強い意志を感じて楽しめましたが。ただ、ホテルを出ればそこはごく庶民的な界隈なので、足りない人は気軽に出かけることもできます。

宿泊費用6000円から10000円は高い?妥当?

ランクの高い部屋は、各部屋ごとに異なるデザインが凝らされています。私の泊まったのはいわばスイートルームでしたが、それでも一泊10000円ほどです。このホテルの真骨頂を味わうには、やはり奮発して高い部屋に泊まってみるのがいいでしょう。きっと、「台南ではこのホテルの全部の部屋に泊まってみたい!」と思うはず。若いスタッフの元気いっぱいな接客も新鮮ですよ!