台湾で見つけた名物の窯焼きパンとは?

ドラム缶のような大きさの窯から、きつね色に焼けた、ごまパンを取り出すところを見てしまったら、もう我慢できません。気が付くと、行列に加わってしまっています。運がよければ、あっという間に私の番が回ってきます。運悪く、ちょうど売り切れたばかりなら、焼きあがるまで30分ほど待たなくちゃだめです。手に持つのも大変なほど、熱々のごまパンをパクッと一口食べると、肉汁が飛び出して、口の中をやけどしそう。口の中の粘膜がやけどしても、感動もののおいしさです。このごまパンは「胡椒餅(フージャオビン)」です。ピリッと胡椒がきいた具が入っているので、この名がつきました。

釜の中で焼けている胡椒餅が見えるのもいい! 釜の中で焼けている胡椒餅が見えるのもいい!

元祖「胡椒餅」は中国大陸生まれ?

この胡椒餅は、日本の敗戦後、中国大陸での内戦に敗れた国民党と一緒に台湾にやってきた中国人が持ち込んだ食べ物です。「餅(ビン)」は中国語で、小麦粉で作ったお焼きのようなものやパンをさします。台湾島の向かい側、中国の福建省福州の中国人が伝えた食べ物なので「福州餅(フージョウビン)」とも呼ばれています。白ごまをたっぷりまぶしたパン生地の中には、豚肉とネギの餡が入っています。

胡椒餅と肉まんの違いは、生地だけじゃない

味のポイントは、豚肉の餡です。肉まんのように全体が豚ミンチ肉ではないんです。1センチ角ぐらいはある赤味の塊と豚ばら肉のミンチ肉がほどよく混じっています。この配合がそれぞれのお店の特徴であり、競い合っている部分でもあります。一口かじると、塊肉が入っているので、「肉!」を強く感じます。味付けは、最初はちょっと甘くて、あとからピりッと胡椒がきいてきます。葱の大きさや割合も重要です。葱もみじん切りではなく、やや大き目。葱もこの大きさだから、肉の塊入りの具に合います。

人気が衰える気配がない胡椒餅

私が、台北に通っていた2000年代前半から胡椒餅は人気がありましたが、人気は続いているどころか、その後もずっと人気上昇中です。以前は並ばなくても買える時もあったのに、今では行列必至のお店が増えました。台北車站にも近い「福州世祖胡椒餅(重慶南路一段13号)」も週末になると、長い行列ができているお店です。胡椒餅は、どのお店もお客の目の前に窯が並んでいて、その場で焼きたてを取り出してくれます。この窯から取り出す姿が、お客を呼んでいます。胡椒餅は、一度そのおいしさを知ってしまうと、ふらふらっとその列に加わらずにはいられない、そんな危険な食べものです。