台北駅の南側には匂い立つような飲食店街が集まっている

台北駅は、地下空間も合わせると、まるで迷路のようです。地下街には土産物屋や飲食店が軒を連ねています。目指すのは、この地下街を通って、南にある一帯です。地上からは行けません。地下道を通って地上に上がると、忠孝西路に面してYMCAやシーザーパークホテルが建っています。その先の路地に進んでみましょう。片側一車線の狭い通りの両側には、飲食店が軒を連ねています。地元のお店のほか、日系のお店もありますし、各店からさまざまないい匂いが漂ってきています。どのお店も手ごろな値段で、しかもおいしそう。そんな中、目を奪われたのが「阿仁福州包3個10元」の看板です。「福州包」とは、焼き小龍包のことです。店先では、丸く大きな鉄鍋で小さめの小龍包を、時折鉄鍋を回しながら焼き上げています。10元=36円(2016年12月)。なんという安さでしょう。9個食べても100円ちょっと。これは食べないわけにはいかないですよね。

台北駅で見つけた「阿仁福州包」の店と看板 台北駅で見つけた「阿仁福州包」の店と看板

メニューはほかにも色々とある

とりあえず6個注文しました。奥には四角い蒸し器が置いてありました。何を蒸しているのか、身振り手振りでたずねると、店主が蒸し器の引き出しを開けて見せてくれます。1段目が肉粽、2段目が油飯です。いずれも味付けおこわといった類いの料理です。肉粽を注文しました。蒸し器の前にあるテーブルに腰かけ、いただきます。烏龍茶はセルフサービスで無料です。まずは福州包から。カリッと香ばしく焼き上がり、辛めのたれをつけていただくと、中に入った肉と野菜の餡の甘みが際立ちます。文句なくうまいです! 肉粽は豚肉を甘めの醤油で煮込んだ汁がたっぷり染み込み、中に入ったピーナッツがアクセントになっています。こういう芸当は、日本料理では考えられません。中華料理らしい、日本人には意外な取り合わせに唸ります。店先では店主が鉄板で焼きそばを作り始めていました。コンロでは女性従業員が野菜ラーメンを作っています。

焦がしちゃっても怒らないのだ

福州包の担当の若い女性は、東南アジアからの出稼ぎのようで、やや風貌が違います。暇を持て余しているのか、ラーメンを作る女性とおしゃべりしています。すると何やら焦げ臭い…。焼きそばを作り終えた店主が慌てて福州包の入った丸い鉄鍋の木蓋をとって、大量の水を一気に入れます。ジュワーッという凄まじい音とともに、店内が水蒸気で真っ白になりました。福州包担当の女性は、頭を垂れて立っています。しかし店主は怒りもしないで、次の作業を指示すると、何もなかったような顔をして、また焼きそばを作り始めています。女性は焦がした50個以上の福州包をビニール袋に捨てていきます。日本だったらこんな場合、怒るのでしょうが、部下が失敗しても怒っちゃいけない。それが東南アジア諸国の習慣です。東南アジアからの出稼ぎが多い台湾では、そんな習慣が身に付いているのかもしれません。それにしても、福州包も肉粽もうまかったです!(その2へ続く)