信義区の再開発地域に出現したアートスポット

台湾旅行に行ったら、「歴史的建造物に触れたい」「日本との関わりを感じたい」「自然の中をのんびり散歩したい」「最新のアートを知りたい」「でもオシャレでかわいくなくっちゃ嫌!」「そこへ行くなら台北中心部でアクセス至便がいいな」……そんな欲張りなあなた。そのすべてを叶えられるスポットがここです。台北信義区にある総合文化施設「松山文創園区」は、2011年のオープン以来、地元台北の人のみならず海外からの訪問者も絶えない注目の施設なんですよ。MRT板南線「市政府」駅出口1を出て、徒歩10分ほどです。

煙草工場が華麗にリノベーションされました 煙草工場が華麗にリノベーションされました

建築そのものが日本初期モダニズム建築の粋

約6.6ヘクタールもあるこの広大な土地は、もともと煙草工場でした。日本統治時代に建てられた「台湾総統府専売局松山煙草工場」が、その後も台湾省管轄の工場として操業していましたが、1998年に生産中止。この工場跡地が市の史跡に指定され、再開発することとなったのです。跡地に並び立つ建築群は、1930年代に建てられた貴重なもの。日本の初期モダニズム建築の典型的な特徴が表れています。“煙草工場”というと、なんだか無粋なものを想像してしまいそうですが、とんでもない。モダニズムなのであくまでもすっきりシンプルながら、採光のためにガラスを多用した長い廊下や、偽物のレトロっぽさではなく年月によって磨き込まれた窓枠など、文化的価値の高い建築群なのです。

リノベーション後の有効な使い方が見事

このカッコいい建物の中には、展覧会が催されるアートギャラリーや、台湾国内と世界の現代デザイン作品を展示する「設計館」、ガラス工房、そしてレストランとカフェなどが入っています。私もあちこち歩いて回ってみました。ギャラリーでは台湾の若者が展覧会の準備をしていました。まるで文化祭の前夜のような、若者特有の熱気と和気藹々なムードに、思わずにっこりしてしまいました。そのときは時間がなくて、元の建築を生かしたレストランやカフェにも座らず引き上げてしまいましたが、こんなに広々としていて魅力的なところなら、もっと時間をたっぷり取って来るべきだったと悔やまれました。

屋外の散策もおすすめです

歴史ある建築物とアートに触れるばかりでなく、外にも目を向けてみましょう。「生態池」という人造池は、元は火災の防火目的に造られた池でしたが、今ではすっかり自然の池のようなたたずまいです。家族連れやカップルが水辺の風景を求めて歩いています。また、中庭はバロック式庭園になっていて、こちらも散歩にぴったり。工場で働いていた工員たちも、休み時間にはきっと庭を歩いてくつろいだことでしょう。当時は、工員のために託児所や浴場も完備(外から見学可)していたそうですから、なかなか恵まれた環境だったのですね。そんなことも想像しながら、ぜひのんびりゆっくりと、都会のオアシスへどうぞ!