バンコクで見かけるタイ料理らしくないタイ料理

二口、三口で食べきれる大きさに切った食パンに豚ミンチ肉をのせて揚げた料理があります。豚ミンチの味付けは、もちろんナンプラーです。この豚肉乗っけ揚げパンの屋台を見つけると、つい買ってしまいます。タイ料理の本を見ると、必ずと言っていいほどで出てくる料理ですが、屋台の数はかなり少ない料理です。タイの首都、バンコクにある東南アジア最大の安宿街、カオサンロードに行くと、この揚げパン屋台があります。「タイ料理らしくない」ないと思いつつ、買ってしまいます。この料理は「カノム・パン・ナー・ムー」です。

地方都市の屋台では、ほとんどみかけない 地方都市の屋台では、ほとんどみかけない

宮廷料理なのに、串に刺して歩き食い?

カノム・パン・ナー・ムーは、タイ風のカナッペみたいで、ちょっとこじゃれています。ナンプラーで味をつけた豚肉とカリッと揚げたパンはスイートチリソースとの相性抜群です。屋台で買うと、カノム・パン・ナー・ムーは、串に刺して歩きながら、食べる気軽なスナックです。でも、もともとは宮廷料理だったそうです。宮廷でも召し上がる料理を屋台で買えるのも、タイの魅力です。それにしてもこのカノム・パン・ナー・ムーって、いったい何系の料理なの?

いろんな系列があるタイ料理

一言でタイ料理と言っても、とにかくいろいろ種類があります。日本人が大好きな鶏肉の炭火焼きやパパイヤサラダのソムタムは、タイ東北部のイサーン料理で、いわば本家本元のタイ料理です。今やすっかりタイに溶け込んだ朝の屋台の揚げパンや夜に人気のお粥などは、どうみても中華系です。タイ北部の古都、チェンマイに行くと、ケーン・ハンレーというミャンマー風豚肉カレーもあります。タイのお隣はミャンマーなので、ミャンマーの影響を受けた料理だってあって当然です。この中にカノム・パン・ナー・ムーが、すんなり落ち着けそうなところはありません。

もしかしてあの物語と関係がある? カノム・パン・ナー・ムーの歴史

カノム・パン・ナー・ムーに使われているパンからして、西洋料理です。19世紀、タイの国王ラーマ4世は西洋人に対して、開かれた思想を持っていました。王様の家庭教師はイギリス人女性でした。この話は、映画やミュージカルで有名な「王様と私」になっています。19世紀後半になるとラーマ5世は欧州を訪問し、ビクトリア朝のイギリス王室とも交流しています。カノム・パン・ナー・ムーに四角いイギリス風の食パンは欠かせません。これは、やはりイギリスの影響ではないでしょうか? おいしいものなら、何でも取り入れて、タイ風に作ってしまうタイ人ってすごい! バンコクの屋台でカノム・パン・ナー・ムーを見つけたら、ぜひ、お試しを!