タイ料理におけるハーブとスパイス

タイ・ハーブの続きです。『タイの日常茶飯』(前川健一著 弘文堂 1995年)によると、「(タイでは)ハーブ類はサムンプライという語が使われ、『国内産の薬用植物』という意味」なのだそうです。これに対して「スパイス」は、「タイ語でスパイスはクルアン・テートという。『外国の物』という意味で、カルダモンやナツメグなど、輸入品が中心なのでこういう名がついたらしい」という位置づけのようです。つまり、もともとタイにあって料理にもよく使われてきたのは、ハーブの方だったと考えていいでしょう。代表的なタイのハーブと、使われている料理を挙げてみます。

タイ料理のレシピに登場するハーブいろいろ その2 タイ料理に必須といえばコリアンダー タイ料理のレシピに登場するハーブいろいろ その2 タイ料理に必須といえばコリアンダー

好みがわかれるコリアンダー

タイ・ハーブの中でも好き嫌いが分かれそうなのが、コリアンダー(香菜)です。タイについての著書も多い作家の前川健一さんは、「私個人の希望をいえば、ケシとともに一日も早くタイから姿を消してほしい植物である」(『東南アジアの日常茶飯』前川健一著 弘文堂 1988年)というほど苦手だそうです。一方、コリアンダーが好きな人は、くせのある独特な香りなしでは物足りないようで、東京にはその名も「パクチーハウス東京」という、コリアンダーを使った料理をそろえた専門店もあるほど。『東南アジア市場図鑑 植物篇』(吉田よし子・菊池裕子著 弘文堂 2001年)でも「日本ではカメムシの匂いがするといって嫌う人がまだ多いが、若い人には愛好者が増えている」とあります。

コリアンダー(タイ語では「パクチー」)

日本ではコリアンダーの葉の部分を乾燥させたものが売っていますが、タイでは根まで付いたものが生で売られているのが普通です。コリアンダーの葉は、パセリのような繊細なかたちをしていて飾りとしても美しいので、料理にのせるほか、香りの強い根もよく使います。トムヤム(酸味のきいた辛いスープ)などには、使う前に包丁で根の部分を叩いて入れると、香りがよく出るそうです。わたしは「ホーモック」という、カレー・ペーストにココナッツミルクを加えた肉や魚の蒸し物がとても好きで、お店で見かけるとつい頼んでしまうのですが、この料理に細く刻まれて入っている葉もコリアンダーです。コリアンダー抜きのホーモックなんて、ちょっと考えられません。

コリアンダーの原産地は?

手元にある英語のハーブ図鑑によると、コリアンダーは南ヨーロッパから西アジア原産で、そこから世界に広まったそうです。数千年前から使われているハーブといいますから、きっと熱烈にコリアンダーが好きな人が各地にいたのでしょうね。(その3に続く)