ホーリーバジル(タイ語では「バイ・カプラオ」)

タイ・ハーブの続きです。コリアンダーと同様、これも熱狂的なファンがいるタイ・ハーブが、「ホーリーバジル(カミメボウキの葉)」です。名前に「聖なる」という意味の「ホーリー」がついているのは、インドではヒンドゥー教の聖なる植物として礼拝の対象だからなのだそうです。タイの食堂で、たぶん一番人気があって、どこのお店でも食べられるのは「ガパオ」というバジル炒めです。鶏肉を使った「パッ・ガパオ・ガイ」や豚肉の「パッ・ガパオ・ムー」などが一般的で、少しアレンジした料理もあります。ほかには、揚げたバジルとピータンを炒めた「カイイヨマー・ガパオ・グローブ」もあり、タイではたいへん親しまれているハーブです。 

タイ料理のレシピに登場するハーブいろいろ その4 料理に使われるバジルの種類は? タイ料理のレシピに登場するハーブいろいろ その4 料理に使われるバジルの種類は?

スイートバジル(タイ語では「バイ・ホーラパー」)

タイ料理で使うバジルにはいくつかの種類があり、料理によって使い分けているようです。「スイートバジル」はメボウキの葉です。イタリア料理などで使うので、「バジリコ」と覚えている方もいることでしょう。日本で手に入るバジルは、ほとんどこのスイートバジルだと思います。タイでは、汁気の多い煮物の「ゲーン」に入れます。日本ではホーリーバジルが売っていないので、家でガパオをつくるときに代わりにスイートバジルを使ってみたのですが、どうも香りが違っていて、タイで食べる「あの味」にはならないようです。それはそれで楽しめましたが。 

ホーリバジル(タイ語ではバイ・メーンラック)

「ホーリバジル」はヒメボウキの葉です。英語ではhoary basilというそうで、意味は「灰白色の毛で覆われた」バジル、といったところでしょうか。タイ料理では、そうめんに似た「カノム・チーン」という料理に使います。前出の『タイの日常茶飯』(前川健一著 弘文堂 1995年)によると、「タネは水につけておくと、タネのまわりがゼリー状になり、カエルのタマゴのようになる。これをココナツミルクが入ったシロップに入れて、菓子として食べる」そうです。

もっと気軽にタイ料理!

保存や輸送の技術が発展して、今では日本でもいろいろなハーブが手に入るようになりました。しかし、エスニック食材のお店も通信販売もなかった頃は、バジルの代わりにシソの葉を使ってタイ料理を作ったとも聞きます(バジルはシソ科の植物)。タイと日本では気候も植生も違うので、手に入るハーブも同じではありませんが、タイ・ハーブを完璧にそろえなくても、性質の近いもので代用することはできそうです。あまり難しく考えずに、自分流に料理を楽しんでみませんか。
<参考文献>・前川健一『タイの日常茶飯』(弘文堂)・前川健一『東南アジアの日常茶飯』(弘文堂)・吉田よし子・菊池裕子『東南アジア市場図鑑 植物篇』(弘文堂)