カレーに活躍するクミンシード(タイ語で「イーラ」)

タイ・スパイスその1の続きです。クミンシードはクミンの種です。クミンは、地中海東部地域とエジプトの原産といわれているセリ科の植物。クミンシードには強い香りとほろ苦さがあり、アラブ料理や南米料理で多用されるようです。手元にあるオランダのスパイス事典Dumont’s Lexicon of Spices(2nd ed., Anne Iburg, Rebo International b.v., 2006)では「インド料理でよく用いられるスパイスで、ガラム・マサラやタンドリー料理、カレーなど調合スパイスには欠かせないスパイス」と説明がありますが、コリアンダーシードと同様、タイのカレーのペーストにも使います。タイ料理は、よく観察するとインドに起源をもつ料理や調理法があるので、もしかするとクミンの使い方もインドの影響があるのかもしれません。苦みが増すので、クミンシードはあまり多すぎないように使うのがこつです。

タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その2 タイでもよく使うショウガ タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その2 タイでもよく使うショウガ

和食でもおなじみのショウガ(タイ語では「キン」)

あらためて紹介するまでもなさそうなショウガですが、東南アジアのものは少し違うようです。日本には中国から伝えられたそうですが、原産地は諸説あるようです。東南アジアの植物を網羅した『東南アジア市場図鑑 植物篇』(吉田よし子・菊池裕子著 弘文堂 2001年)によると、「現在日本でショウガといっているものは、漬物用に作られたダイキョウという品種で、辛味も香りも薄い。東南アジアでは今も、本来のショウガが利用されている」そうです。そういえばタイには、同じショウガ科の仲間の「ナンキョウ」(ガランガル、タイ語で「カー」)もあります。市場で見かけて、ちょうど日本の新ショウガのようだと思いましたが、タイでは生でよく使います。

タイ料理でのショウガの使い方

ショウガを使うタイ料理というと、すぐに思い浮かぶのはトムヤムガイ(鶏肉のココナッツ風味トムヤムスープ)や、ガイパットキン(鶏肉のショウガ炒め)でしょうか。特にガイパットキンの方は、ショウガの作用で血行が改善し、お乳の出がよくなることから、タイでは産後の女性によく食べさせるのだそうです(前掲の『東南アジア市場図鑑 植物篇』より)。魚をよく食べる日本では煮魚などにも使われますが、肉や魚の臭みを消す働きがあるので、タイ料理でも広く使われるスパイスです。俗に、媚薬や多産の効果も期待されていたという話もあるくらいなので、独特の香りや刺激には何か特別な力があると考えられていたのでしょうね。そういえば、タイ式マッサージなどで使うハーバルボールにはショウガが使われています。(その3に続く)