強い香りでも世界中で使われているニンニク(タイ語で「クラティヤム」)

タイ・スパイスその2の続きです。タイ料理には、たとえば韓国料理ほどニンニクを使うイメージがないかもしれませんが、レシピを見ても、実によくニンニクを使います。クイティアオ・パッタイ(炒めビーフン)、バーミー・ナーム(スープ中華麺)といった麺料理から、ヤム・ヌア(牛肉の辛味サラダ)、クン・オプ・ウンセン(海老と春雨の蒸し物)といったごちそうまで、にんにくのみじん切りやすりおろしを使います。タイのお惣菜を持ち帰ると、冷蔵庫の中で独特な香りがすることも。生でかじると刺激と辛味があるので、生ニンニクを好む人も中にはいます。

タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その3 タイ人が好きなニンニク タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その3 タイ人が好きなニンニク

タイで使うニンニクの種類

タイの市場をのぞくと、薬味売り場にはニンニクが必ずあります。日本と違うのは、白っぽいものと赤みがかったものがあること。「ピンク種というのは小粒で、皮がちょっとピンクか紫がかっている。ホワイト種は皮をむいて使うが、ピンク種は皮がついたままつぶして料理する」と、『タイの日常茶飯』(前川健一著 弘文堂 1995年)ではタイ料理での使い方のちがいを説明しています。炒めものなどに皮つきのまま入っているのは、小粒のピンク種のようです。

日本ではわりと新顔のニンニク

ところでタイに比べて日本では、ニンニクを使う量が少ないような気がします。タイ料理のレシピに書いてあるニンニクの量は、ふだん和食をつくって食べているわたしからすると、ぎょっとするような量です。『東南アジア市場図鑑 植物篇』(吉田よし子・菊池裕子著 弘文堂 2001年)はその理由を、油の使用量と関連付けて説明しています。「ニンニクは油で炒めると、生とは全く違う香ばしい、おいしそうな匂いになる。油を料理に使わなかった日本人は、油料理が食卓に定着する、20世紀も末になって、やっとニンニクの味と香りを理解しはじめたようだ」。たしかに、油が希少で高価だった日本では、揚げ物や炒め物はそれほど一般的ではありませんでした。食生活の多様化は、こんなところにも影響するのでしょうね。(その4に続く)