トウガラシ以前のタイ料理はどんなものだった?

タイ・スパイスその4からの続きです。文献でさかのぼるのは難しそうですが、大航海時代にトウガラシが伝わる以前のタイ料理は、今とはずいぶん違ったものだったと考えられています。タイ研究者の山田均さんは、著作『世界の食文化5 タイ』(農山漁村文化協会 2003年)で、辛味はコショウやウイキョウ、ニンニクなどを使っていたのではないかと推測しています。トウガラシの辛さには及ばないまでも、苦みや刺激の成分を含むハーブは、確かにほかにもあります。ただ、トウガラシの伝来がタイ料理を劇的に変えたのは確かで、もし昔のレシピを再現できるようなものがあれば、一度食べてみたいものだと思います。

タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その5 トウガラシ以前のタイ料理 タイ料理の香り・味わいを豊かにするスパイス その5 トウガラシ以前のタイ料理

自作なら、味付けもアレンジ自在

タイ料理のレシピに書いてあるスパイスは、かなり種類が多く、これをみんなそろえなければ作れないのかと思いがちです。でも香辛料は、食材をより風味豊かにおいしくするためのものですから、本来は引き立て役です。ライムがなければレモンで置き換えてもいいし、バジルがなければシソの葉を使うなど、工夫して代用することもできます。主だったものだけ入れて、だんだんとスパイスの種類を増やしていく方法もあると思います。トウガラシの量も、レシピに忠実に入れて自分の舌をそれに合わせることもないでしょう。最初は少し控えめに入れてみて、好みに合わせて加減するくらいでいいのではないでしょうか。

おいしく、楽しくタイ料理

タイと日本は気候も違いますし、ふだん食べているものも同じではありません。当然おいしく感じるものも違うはずで、機械的にレシピをまねるよりも、食べる人の好みに合わせて楽しく、おいしく食べられる料理が一番です。タイ料理は、インターネット上でもいろいろな作り方が紹介されています。時間のあるときに、自宅で料理してみませんか。 <参考文献>・前川健一『タイの日常茶飯』弘文堂、1995年。 ・山田均『世界の食文化5 タイ』農山漁村文化協会、2003年。 ・吉田よし子・菊池裕子『東南アジア市場図鑑 植物篇』弘文堂、2001年。 ・Anne Iburg, Dumont’s Lexicon of Spices(2nd ed.), Rebo International b.v., 2006.