日本ではなぜか見向きされないアヒルちゃん

かつてバンコクで暮らしてから、アヒルが大好物になりました。その後、ヨーロッパに行ってからは、鴨にもはまってしまいました。チキンよりもしっとりとした食感で、粘り気のある歯ごたえが溜らんのです。アヒルは、秋になるとユーラシア大陸に飛来するマガモを、人類の食用にするべく、卵を多く生み、飛べないように、数千年かけて改良に改良を重ねた家畜だそうです。ですから漢字でアヒルは「家鴨」と書くのですね。アヒルに野生種はいないのです。単に逃げたアヒルはいるのでしょうけど。平安時代には日本にも輸入されたようなのですが、明治になるまでは、表向きは肉食が禁じられていたせいで、鶏などと同様に、大っぴらには食べられなかったのです。また、明治以降でもアヒルのアブラっぽさが好まれなかったからか、日本で定着しなかったと言われています。しかしどうしてこんなにおいしい肉が……と思わずにはいられません。

突撃! アジアのラーメン〜バーミー・ペッ(アヒルラーメン) 突撃! アジアのラーメン〜バーミー・ペッ(アヒルラーメン)

タイで庶民的なアヒル料理とは?

タイのアヒル料理でもっとも庶民的なのは、何と言っても「バーミー・ペッ(アヒルラーメン)」でしょう。屋台のショウウィンドーに、煮込んで茶色くなったアヒルがぶら下がっているので、一目瞭然です。鶏との違いは、アヒルのほうが首が長いことです。また鶏なら蒸して白っぽくなったものを吊るしている店もありますが、アヒルにはありません。このラーメン、スープは、アヒルを醤油ベース(この醤油はたぶん広東醤油…甘くてコクがある。日本の関西から九州にかけての醤油に似ている)で、薬膳風にグツグツ煮込むのです。一緒にゆで卵やレバーも入れたりします。アヒルのレバーは、ヨーロッパに行けば、フォアグラですよ。フォアグラにはアヒルとガチョウと2種類あります。ガチョウはこれも渡り鳥の雁を家畜化した種類です。

実は隠れた高級ラーメンなのだった!

麺は、細いものから、きしめんのような太いものまであるクイッティオという米麺と、バーミーという日本のラーメンと同じタイプの黄色がかった麺があります。僕が注文するのはバーミーの方です。具は、アヒルの肉とレバー、卵をトッピングしてもらいます。レバーだけなら、「フォアグラ・ラーメン」です。人知れず、超高級ラーメンが、破格の安さで食べられるのです。ただしこのレバー、普通のアヒルのレバーですので、フォアグラほどは大きくありません。さてスープの味は、濃厚で複雑な醤油ラーメンと言ったところですが、不思議とあっさりしています。肉はジューシーで、もやしのシャキシャキ感がいいです。濃厚なレバーと、だし汁がよく染み込んだ煮卵、パクチーの香りも合います。翡翠麺(バーミーヨック)という、ほうれん草のしぼり汁を練り込んだ、緑色の麺を出す店もあります。こういう店にあたれば最高ですよ!