タイにもともと住んでいたのはタイ人ではない?

タイにある遺跡というと、ほとんどの人が思い浮かべるのは、バンコクからも近いアユタヤ遺跡と、北タイ中部にあるスコータイ遺跡ではないでしょうか? それぞれ14〜18世紀に栄えたアユタヤ朝、13〜15世紀に栄えたスコータイ朝の都で、見応えも十分な大きな遺跡です。このふたつは、現在もタイの人口構成の多数を占めるタイ人による王朝ですが、もともとタイ人は中国南部の雲南地方に住んでいました。10世紀から13世紀にかけてタイ人はそこから南下し、現在のタイ全土に広がるのですが、それまではタイ東北部にはクメール人が多く住んでいたのです。今回はタイにある、そんなクメール人による遺跡を紹介していきましょう。

ピマーイ遺跡にあるにある「ナーガ(蛇神)の橋」。欄干がナーガになっている ピマーイ遺跡にあるにある「ナーガ(蛇神)の橋」。欄干がナーガになっている

タイ東北部は、かつてクメール人の勢力範囲だった

クメール人は現在もカンボジアの人口の多数を占める民族です。6世紀にはシャイレーンドラ朝、9世紀にはクメール王朝(アンコール朝とも)が栄えました。クメール王朝はまもなくアンコールを都として12世紀に最盛期を迎え、この時期にアンコールワットを始め多くの建築物が建てられました。しかし、13世紀になるとモンゴルの元朝やタイのアユタヤ朝の侵攻により衰退していきます。アンコール朝の勢力範囲は、タイ人が中国南部から南下する以前は現在のタイ東北部を含んでいました。そのためこのエリアには、多くのクメール遺跡があるのです。アンコールワットに比べると観光ツアーは少ないですが、タイで見るクメール遺跡はちょっと新鮮ですよ。

遺跡観光の基点となる都市ナコーン・ラーチャシーマー

クメール遺跡見学の旅の基点となるのが、タイ東北部を代表する大都市ナコーン・ラーチャシーマー(通称コラート)です。この町自体には見どころは少ないのですが、バンコクからのアクセスがいいのと、ホテルが多く、車もチャーターしやすいので、ここを基点にいくつかのクメール遺跡へ日帰りで行くことができます。バンコクからはバス(1時間に2〜3本、所要3〜4時間)か鉄道(1日十数本、所要4〜5時間)を利用します。町には旅行会社もあるので、車のアレンジなども頼めます。(その2に続く)