返還されたレリーフが本堂に

「タイ東北部に残るクメール遺跡を行く」その3からの続きです。それでは石段を登っていきましょう。登りきると本堂前の広場に出ます。本堂の周りはたくさんの浮き彫りで飾られています。ちょっとくっきりしすぎているものは、かなり修復したのでしょうか。蛇神ナーガや鬼神カーラ、シヴァ神などの浮き彫りが見えます。有名なのは、本堂正面入り口上部にある「水上で眠るナーラーイ神」です。このレリーフは、1960年代に盗まれてシカゴの美術館に収蔵されていたものが、1988年にタイの要求に応じて返還されたというものです。タイの人気バンドが歌で呼びかけるなど、返還運動が盛り上がった結果だとか。建物の中に入ると、シヴァ神の乗り物である牛のナンディ像があります。

あわせて見学したいムアン・タム遺跡

このパノム・ルン遺跡から5km、車で15分ほど離れた場所にあるのが、「ムアン・タム遺跡公園」で、こちらは平地にあります。お堀に囲まれ、中央に4つの塔を持つ本堂の跡があります。本来、塔は5つあったのですが、中央の塔は失われてしまったとか。ひとつひとつの塔がお堂になっており、中に入ることができます。これらも10〜12世紀のクメール時代に建てられたヒンドゥー寺院です。入り口付近に資料館があり、往時の想像図が展示されていますよ。この遺跡にも、ピマーイ遺跡のように「バライ」と呼ばれる人工池が隣接しています。この池は雨季に水を溜め、農業に利用するために、この神殿と同時期に造られたものです。

本堂の4つの塔(お堂)が残るムアン・タム遺跡 本堂の4つの塔(お堂)が残るムアン・タム遺跡

タイにあるその他のクメール遺跡

私が行ったのは、紹介した以上の4つだけですが、さらに東のタイとカンボジアの国境の絶壁の上には、有名な「カオ・プラ・ウィハーン遺跡」があります。この遺跡は、厳密にはカンボジア側にあるのですが、アクセスの関係上、入り口はタイ側にあるのです。絶壁の上にあるので、眺めはすばらしいようですよ。他には、ナコーン・ラーチャシーマーからバスで4時間東の町スリン(ゾウ祭りで有名な町です)の東40Kmに12世紀の「シー・コーラプラム遺跡」が、南32kmには12世紀の「バーン・ブルアン遺跡」があります。また、シー・サケートの町の郊外にも、11世紀の「サ・カムペーン遺跡」、12世紀の「サ・カムペーン・ノーイ遺跡」などがあります。タイ東北部にはまだまだ行っていないクメール遺跡がたくさんあり、私も訪れてみたいと思います。それではみなさんも、機会があったら見に行ってみてください。