- 岡崎大五
- 風来坊のような旅人が、30歳で帰国。海外専門の添乗員を経て作家になりました。角川文庫の添乗員シリーズは累計30万部を超えるベストセラーに。今ではミステリー小説やエッセイなども書いていますが、旅は止められません!訪問国は83か国です。ブログ「岡崎大五の作家生活」を運営中。
出発エリアをに変更しました。
BMWのタクシー。カッコいいけどエアコンが故障していた
中央アジアのトルクメニスタンの入国ビザは、世界でもっとも取りにくいかもしれません。観光ビザですと、ホテル代、交通費等すべて込みでないと取得できません。しかも時間がかかります。そこで世界の旅行者が取得しているのがトランジット(通過)ビザです。ヨーロッパ人の多くは、トルコのアンカラにあるトルクメニスタン大使館で取得するそうです。「トルクメ」の文字にあるように、トルクメニスタン人は、トルコ人の仲間なのです。だからか、案外取りやすいとか。トルコ系の民族は、トルコから中国西域にまで分布しています。中国のウイグル人もそうです。同じ仲間の民族だからかどうか、ウズベキスタンの国境には、トルクメニスタンに入ろうとするトルコ国籍のトラックが数珠つなぎに順番待ちをしていました。トルコ、イラン、トルクメニスタン、ウズベキスタンと人と物が行き来しているようです。
ほぼ砂漠です…
5年前、僕は5日もかけて、ウズベキスタンのタシケントのトルクメニスタン大使館で、5日間有効のトランジットビザを取得しました。同じ宿に泊まっていたドイツ人の話は面白かったです。彼はトルコのアンカラでビザを取得、滞在期間は3日間だけ。しかも自転車旅行なのです。中央アジアには、世界中を回ったツワモノ旅行者が集まってきています。彼もそんなひとりでした。しかしトルクメニスタン縦断距離は600キロもあります。ベテランでも1日200キロが目安となる中、連日45度以上の砂漠の中を走るのです。彼は入国するや必死でペダルを漕ぎました。そしてなんとか3日間で縦断しました。その感想は「死にそうだった!」そうです。「砂漠しか記憶に残っていない」。恐るべし、トルクメニスタン。僕と妻は、ほかのツワモノ旅行者たちと腹を抱えて笑いながら、彼の冒険譚に聞き入りました。
数日後、僕たちも徒歩でトルクメニスタンに入国しました。国境の町はトルクメナバート。ロシア風の建物が建つさびれかかった町でした。建国の父トルクメンバシュこと、ニヤゾフ元大統領の肖像画があちこちにあります。翌朝5時、乗合タクシーを探します。バスは安いが、何時間かかるかわからないというのです。その距離は約620キロです。タクシ―だといくらかかるのでしょうか? BMWのタクシーを発見、値段を聞くと1人15ドル。思わず僕は「さすが産油国!」と叫びました。世界最安値級のタクシー料金だったのです。僕と妻、現地女性の3人を乗せて出発。砂漠の中をぶっ飛ばし、昼過ぎには首都のアシガバードに到着。たぶん、南米のベネズエラと双璧をなすタクシー代の安い国だと思います。ただしクーラーは故障し、頭が焼けるようでした。季節によっては、早朝にしか出ていないそうです。昼間は暑すぎるんですね。(後編に続く)
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※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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