「博物館都市」イチャン・カラ

シルクロードの要衝として繁栄したウズベキスタンの古都サマルカンドは、美しいモスクの色から「青の都」と称され、小さい頃から訪れるのを夢見ていた場所でした。念願かなってその地を訪れ、大いに感動したあとでウズベキスタンの国内を巡ったのですが、サマルカンド以上に美しく印象的だったのが、西にある城塞都市ヒヴァです。10世紀に建設された日干しレンガの城壁に囲まれた旧市街は「イチャン・カラ」と呼ばれ、シルクロードのオアシス都市として繁栄した時代をそっくり今に残す「博物館都市」として、世界遺産にも登録されています。

シルクロードに残る美しい城塞都市 -ヒヴァの旧市街「イチャン・カラ」- シルクロードに残る美しい城塞都市 -ヒヴァの旧市街「イチャン・カラ」-

旧約聖書の時代に遡る歴史

ヒヴァの歴史は、「ノアの箱舟」のノアの息子セムが砂漠で井戸を掘り、その水を飲んだ人々が「ヒワック(甘い水)!!」と叫んだという逸話が由来となっています。紀元前2世紀には古代シルクロードの主要な町として栄え、14世紀には旅行記で有名なアラブの旅行家イブン・バットゥータがこの町を訪れて、この町の繁栄ぶりを伝えました。16世紀のはじめにここを都とするヒヴァ・ハーン国が興り、現在残る主要な建築物はこの時代に造られました。長い歴史の中で、ヒヴァは紀元前の昔から、常に中国とローマを結ぶシルクロードの重要拠点であり続けたのです。

砂漠に映える美しい青いタイル

イチャン・カラは高さ約8m、厚さ6〜7m、周囲約2kmの日干しレンガの城壁に囲まれています。中はヒヴァ・ハーン国の宮殿エリアで、ここには官僚や聖職者、豪商が住み、市民や商人、職人は城壁の外の「ディシャン・カラ」地区で暮らしていました。門をくぐってイチャン・カラの中に入ると、ベージュのレンガの建物や石畳に、青いタイルの装飾と真っ青な砂漠の空がとても映えます。チャイハネに敷かれた土地の伝統的な織物スザニもまた色鮮やか。モスクのミナレットからの旧市街の眺めは、すべてが乾いたベージュの世界で、まるで砂漠に浮かぶ蜃気楼のようです。

イチャン・カラの中に泊まろう

泊まるならイチャン・カラの中にある宿が絶対におすすめです。人が途絶えてしんとした夜の旧市街を歩いたり、朝日に染まっていく塔や建物を見ていたりすると、路地の向こうからラクダのキャラバンが現れてもおかしくないような気さえしてきます。旧市街の中には今でも人が住んでいます。こんな美しい町で暮らせるなんてうらやましい!! エキゾチックな顔立ちのヒヴァの人たちは人懐こくて、あんなに素晴らしい遺跡があるのに旅行者ずれしていないところが、この町に時が止まったようなのんびりした空気を漂わせる魅力のひとつになっているのでしょう。