中央アジアはどこにあるのか?

中央アジアと聞いて、すぐに地理が思い浮かぶ人がいたら、かなりの通だと思います。中国の西、ロシアの南、アフガニスタンやイランの北に位置する国々で、一般的にはカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタンの五カ国を指します。乾燥地帯が多く、油田や天然ガスの豊富な資源を持っている国もあります。その昔は、シルクロードの要衝として栄えた町も多く、アジアと中東、そしてヨーロッパの文明や文化が行き交ったところで、人々の顔も実に多種多様です。僕と妻はある年の夏、ウズベキスタンのサマルカンドに来ていました。ブルーのタイルで出来た神学校の美しさは、ハッとするほど見事です。『青の都』と称されるわけです。多くの旅人たちが、数世紀にもわたって、この世界遺産の町を見て感動したのだろうなと想像できます。

市場では朝鮮系の人たちがキムチを売っている

そんなサマルカンドの町で、市場をうろついていたら、しきりに「写真を撮ってくれないか」とねだってくる人がいるのです。子供ならまだしも、大人でもそうです。ある若い女性など、前歯が全部金歯で、「どう、きれいしょ」と口を開けて見せてくれます。金歯がお金持ちの象徴のようですね。さすがに写真を撮ってあげる時には、口を閉ざしましたが。市場には、朝鮮系の顔をしたおばちゃんたちが、キムチを売っています。彼女たちは、朝鮮半島に接する満州など、北方に暮らしていた朝鮮族の人々の末裔にあたります。なんでも戦前から戦中にかけて、当時のソビエト政府によって強制移住させられたのだそうです。ある種現代にいたるまで、シルクロードが生きているような錯覚にとらわれる話でした。

サマルカンドの市場にある、朝鮮系のキムチ屋さん サマルカンドの市場にある、朝鮮系のキムチ屋さん

写真を撮るのはいいけど、いったいどうしたいのだろうか?

話が脱線してしまいましたが、そう、写真のことです。イスラム教の国、とくに女性にカメラを向けると嫌がられることが多くありました。しかしそれがこの国では、イスラム教徒が多いはずなのに、まったく関係ありません。どしどし撮ってくれないかと近寄ってくるのです。カメラに対する態度といい、金歯といい、キムチを売っていることも、なんだか思いもよらず独特で面白いです。ブルーのタイルが美しい神学校で写真を撮っていると、大家族が僕の近くへそろそろと近寄ってきました。「写真を撮ってくれないか」です。そこで一枚。ところが彼らは送ってくれなどとは、決して要求してきません。積極的なわりに奥ゆかしいところもあるのです。撮ってもらっただけでとても満足しているようです。あとで「あの時外国人に写真を撮ってもらったんだよ」と盛り上がるのでしょうか? よくわかりませんが、この国には、素朴な人たちがとても多いような気がしました。

なぜか家族写真を撮ることに なぜか家族写真を撮ることに