- 前原利行
- 東京出身、神奈川在住。90年代半ばにバックパッカーで世界放浪したことをきっかけに、旅行ライターの道に。ガイドブック、雑誌、ウエブサイトなどで取材やライティング、編集を担当。行った国は90ヵ国以上だが、最近は国の数が増えないことと体力の低下に悩んでいる。他にも映画や音楽の仕事もちょこちょこしている。
出発エリアをに変更しました。
中国との国境に近いカオバン省にあるバンゾックの滝
首都ハノイを中心とした北部ベトナムの観光地というと、まずは何といっても世界遺産の「ハロン湾」が浮かびますよね。その次に人気があるのは、サパに代表される山岳少数民族の町や村を訪ねる旅です。長年、ハノイからのエクスカーションはそんなものでしたが、世界的な絶景ブームの影響か、近年急に注目されるようになったベトナムの景勝地があります。これが中国との国境に近いカオバン省にあるバンゾックの滝です。落差50m、幅200m以上あり、何段かに分かれている滝は周囲のカルスト地形の山の風景と相まって、かなり迫力があります。実はこの滝自体が国境上にあるのです。そのため滝から流れる川の対岸は、もう中国。ベトナム側よりも中国側の方が観光客でにぎわっています。
チャンアンも、ハロン湾と同じく石灰層の地層が、奇岩と渓谷を作り出している
この滝は大きな都市から離れているため、アクセスはあまり良くはありません。だから近年まであまり知られていなかったのかもしれませんね。そのため、今でもバンゾック滝へ行く最も簡単な方法は、ツアーを利用することです。基点となる都市ハノイまでは成田から直行便で約6時間。バンゾック滝を含むハノイのツアーは5日間からで、世界遺産のチャンアンなどと回る観光付きのツアー料金は10万円台からです。自力で行くにしても、ハノイからバンゾック滝そばの町、カオバンまではバスで約7時間、専用車でも6時間はかかるので、ハノイからの日帰りは無理です。カオバンからバンゾック滝までも約90km、車で2時間ほどの距離があります。カオバンにホテルがあるので、行きか帰りに泊まるといいでしょう。バンゾック滝のそばには、世界遺産のフォンニャ洞窟よりも美しいと言われているグオムガオ鍾乳洞があります。こちらもぜひお寄りください(ツアーではたいてい寄ります)。
カルスト地形の景観に、落差50m幅200m以上の滝が連なる姿は圧巻
注意としては、滝は国境地帯にあるため、外国人は原則的に「国境地帯入域許可証」が必要なことです(実際にはほぼチェックがないようですが)。ツアーの場合は、代わりに旅行会社が取得してくれるので問題ないでしょう。自由旅行なら、自分でカオバンの町にある入出国管理局へ行くことになります(土曜午後と日曜休みなので注意)。旅のベストシーズンは雨量が多い雨季の7〜8月と言われていますが、当日雨が降ってしまうと見晴らしが悪く、そもそも観光には適していないので、一概にこの時期がベストとは言えません。ということでハノイからはかなり遠いですが、絶景を見るためには不便はつきものです。ぜひチャレンジしてみてください!
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※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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