- 松野泰子
- ホーチミン市在住。東京での出版社勤務を経て、「食べ物が美味しいから何とかなる」という根拠のない自信を頼りに2005年ベトナムへ移住。知らず知らずベトナムの虜になりつつ、食・健康・人をテーマに、ベトナムの情報を発信。現地発行の日本語情報誌『ベトナムスケッチ』を始め、日本の雑誌・webにも寄稿する。
出発エリアをに変更しました。
フレンチコロニアル調のカフェ「ザ・リファイナリー」。ハイバーチュン(Hai Ba Trung)という大通りに面した門をくぐったところにある隠れ家的存在だ。
日々成長するホーチミンの街では、最近、外国人旅行者や在住者、流行に敏感なベトナム人の若者が集まるカフェが次々とできています。清潔な店内、お洒落な内装、おいしいコーヒーやワイン、オリーブオイルを使ったお料理をいただくのも、休日の楽しみのひとつです。
バイクの排気ガスや、混沌とした町並みから少し離れて、優雅に西洋風のカフェに入ると、ほっとするのも確かです。そんな都会のオアシス的な存在の中でも、かくも面白いエピソードを持ったカフェをご紹介します。その名も「ザ・リファイナリー(精製という意味)」。
何を精製するかって?それはなんと、阿片なのです!
店内にはかつて阿片工場だったときの絵画が並ぶ。大通りに面した門は現在も過去も同じ姿
阿片精製といっても、もちろん現在のことではありません。ベトナムはご存じの通り、フランスによる植民地時代が長く続いた厳しい歴史を背負っています。そんな19世紀のフランス統治下において、ベトナムは阿片製造の重要な場所でもありました。そして当時、阿片精製工場として使われていたのが、このカフェの前身だったのです。
オープンテラスが気持ちいい今の姿からは想像もつきませんが、コロニアル式建築で建てられた店中には、かつての工場を描いた絵画や、裏ルートで阿片を求めたベトナム庶民を写した写真などが並んでいます。
大通りにからは、カフェの名前と阿片の花があしらわれた門が見える。
お店のモチーフになっている花も、よく見てみると、阿片の花。大通りハイバーチュンからカフェに繋がる門にも、この阿片の花があしらわれています。とは言っても、言われなければ一見、誰も気がつかないような、洗練されたカフェには違いないので、ご安心を。
手前から「モッツァレラとナスのサンドイッチ」(6万7000ドン、約500円)、「クロックムッシュー」(7万1000ドン、約540円)
そんな歴史あるカフェで食べられるのは、野菜たっぷりの地中海料理。お昼にはボリュームのあるサンドイッチがおすすめです。
今回注文したのは、「モッツァレラとナスのグリルのバジルペーストサンド(Fresh Mozzarella, Grilled eggplant and pesto on country bread)」と「クロックムッシュー(Croque Monsiuer)」。どちらも新鮮なサラダかフライドポテトがつきます。
新鮮なフルーツをミックスさせたフレッシュ・ジュースをプラスすると1人10万ドン(約750円)程度。物価の安いベトナムにしては高級なランチですが、自家製のパンはしっかりと小麦の味がして、新鮮なチーズがとろけるほどに美味。ボリュームもたっぷりです。
夜は、アラカルトメニューやお酒のメニューも豊富で、しっとりとした大人のバーとしても人気を集めています。西洋と東洋が入り交じったベトナムの歴史は、こんなところに姿を残しているのですね。
■The Refinery (ザ・リファイナリー)
住所:74/7C, Hai Ba Trung, Dist.1, Ho Chi Minh City
電話番号:(+84)8-8230509
URL:無し
営業時間:11:00〜23:00
定休日:無休
その他:店内30席+カウンター テラス約50席
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/06/22)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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