- 松野泰子
- ホーチミン市在住。東京での出版社勤務を経て、「食べ物が美味しいから何とかなる」という根拠のない自信を頼りに2005年ベトナムへ移住。知らず知らずベトナムの虜になりつつ、食・健康・人をテーマに、ベトナムの情報を発信。現地発行の日本語情報誌『ベトナムスケッチ』を始め、日本の雑誌・webにも寄稿する。
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フーティウ(Hu Tieu)は米粉をクレープ状にしたものを日干しさせて半分乾燥させて作った麺。ほどよいコシが人気。一杯22000ドン(約170円)
ベトナムは麺王国。簡単にささっと食べられて、具もたっぷりで栄養満点のヌードルはベトナム人の日常食としてとてもポピュラーで、かつ種類も豊富です。日本で有名な「フォー(Pho)」ももちろんそのひとつですが、他にも数々な麺があります。そのうち、南部の名物としてホーチミン市でよく食べられる麺が「フーティウ(Hu Tieu)」です。米粉から作られているところはフォーと同じですが、フーティウは半乾麺なので、しっかりとしたコシがあります。南部料理らしく、甘めのスープが絡む細めの麺は一度食べればやみつきになる美味しさ。
地元客にも在住外国人にも大人気のフーティウ専門店。間口は狭いが人気店らしく中は増設され、テーブルが並ぶ。入り口にある屋台で調理してくれる。
そんなフーティウは、お洒落なレストランではなかなかお目にかかれません。でも、ひとたび街に出て、地元の人たちが集まる食堂に行けばだいたいどこでも置いてあるという一品。まさに気取らないベトナム料理の代表格と言えるかもしれません。がやがやと騒々しい街中で、簡易テーブルに出されたフーティウをすする。ライムをぎゅっと絞れば、爽やかな酸味が感じられて「ああ、ベトナムに来たな!」と感じます。さて、そうした庶民派の店の中でも、フーティウと言えば、ここ!と多くの在住者が太鼓判を押すお店をご紹介しましょう。
スープ仕立てにせず、たれを和えた「フーティウ・コー(Hu Tieu Kho)」(22000ドン/約170円)
安宿街で有名なファングーラオ(Pham Ngu Lao)通りの突き当たりにある交差点をグエンチャイ(Nguyen Trai)通りに入ったすぐのところにある、小さなこのお店「フーティウ・ナンバン・クイン(Hu Tieu Nam Vang Quyen)」はいつ行ってもベトナム人客で賑わっているフーティウの専門店です。ナンバン(Nam Vang)とはカンボジアの首都プノンペンのこと。フーティウに、豚肉、海老、ニラ、葱などに加えて、様々な野菜、挽肉のそぼろを載せる食べ方がカンボジアから伝わったとされ、この名前が付いているのだとか。メニューは通常のスープに入ったものと、汁なしフーティウの2種類のみ。スープ入りなら「ヌォック(Nuoc)=(水という意味」」、汁なしなら「コー(Kho)=(乾きという意味)」と頼みましょう。ものの1分で、店頭にある屋台からできたてのお椀が運ばれてきます。
きそばのようにたれが濃厚にからんだ麺 海老、豚の臓物、ハスの茎、カリフラワーなどたっぷりの野菜とともに食べる
スープに入ったフーティウも美味しいのですが、ときどき無性に食べたくなるのが、この「汁なしフーティウ」。甘辛いタレを茶色に色がつくまで麺に和え、この上に海老、豚の臓物、カリフラワー、ニラ、ハスの茎をたっぷり載せて食べるのですが、ニンニクがたっぷりと効いたタレがなんとも絶妙。別椀でついてくるスープを少しずつ麺にかけてほぐしながら食べるのがどうやらベトナム人のマナー(?)のようです。付け合わせに春菊やレタスが出てくるのもフーティウならでは。細かくちぎってスープやタレに浸しながら食べましょう。口の周りを汚しつつ勢いよく食べる。そんな豪快な、南部特有の麺、一度おためし下さい。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/06/29)
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