ホイアンの郊外に穴場あり

「ベトナムのホイアンでのレンタサイクル(前編)」からの続きです。ベトナムでは、以前から都市部の排ガスが不評です。バイクの数の多さが大きな原因の一つなのでしょうが、エネルギッシュな都会と感じるか、排ガスのひどい都会と感じるかは、人によってそれぞれだと思います。ただ、ホイアンくらいの田舎に来て、多くの旅行者がホッとするのは、都会とは違ってバイクの数が少ないことです。音も静かになりますし、排ガスも薄れます。とくにホイアンから郊外にサイクリングすると、そうしたベトナムの田舎の良さが肌で感じられるのです。旧市街からクアダイ通りに出て東に向かい、チャナントング通りを右折して、橋を渡ると、田んぼが広がり、田舎の風情そのものです。「Cam Thanh(カムタン)」と呼ばれる地域に入ってきました。次々とバイクで客引きが近寄ってきます。「ボートに乗らないか?」というのです。しかし、例のごとく、ここで頼んだらべら棒な値段になるので、断って自転車を走らせましょう。

デルタ地帯 デルタ地帯

カムタンにはニッパヤシのプランテーションが広がる

旧市街だけにいるとわかりずらいですが、ホイアンは海まで4キロしか離れていません。そして周囲はデルタ地帯になっています。自転車で走っていくと、道ばたに、ニッパヤシが干されているのが目につくようになってきます。なんでも200年以上前、北ベトナムから移住してきた人々が、ここのデルタに目をつけて、ニッパヤシのプランテーションを始めたのです。ニッパヤシは、古来から住宅の壁や屋根には欠かせないものでした。真新しいチュアダイ橋から眺めてみると、新しく植え付けられた、まだ背の低いニッパヤシも見かけます。橋は渡らず、自転車で行き止まりまで走ります。するとそこは船着場で、円形のコーヒーカップのような「バスケット・ボート」が何艘も浮かんでいます。これが観光用にも利用され、ボート遊びがこのデルタ地帯の目玉になっているのです。僕と妻は乗る前に、小1時間ほど地元の人とおしゃべりしたうえで、値段交渉に入りました。

カムタン周辺地図 カムタン周辺地図

なかなか楽しいボート遊び

その結果、ボート遊びは30分で10万ドン(約500円)。あとで聞いた話によると、破格の安さだったそうです。「俺が乗せてやるよ」と言ってくれたのは、中年のおやじさんです。竹で編んだ円形のボートに乗り込みます。水底は意外に浅く、人の腰ほどもありません。おばあさんがせっせとハマグリを獲っていました。やがてボートはニッパヤシのプランテーションの中に入ります。このボート遊びのいいところは、エンジンがないので静かに進むところです。デルタの静寂は、気持ちイイです。ツアーでも利用されているようで、ボートに分乗した団体客とすれ違います。自然に生えているように思われるヤシですが、実は人間が植えたものが多いと考えられているそうです。それを実感できるボート遊びは、なかなかオツですよ。そして行きも帰りも、風を切ってサイクリング。帰りは途中の駄菓子屋でヤシの実ジュースを飲みました。

ニッパヤシのプランテーションの中を行く ニッパヤシのプランテーションの中を行く