- 田尾蓮果
- バリ島在住。ジャワ島のガジャマダ大学に語学留学後、93年バリ島に移住。誰もが認める犬バカ女で、美味しいもの、買い物、スパも大好き。フリーペーパー「H.I.S.バリフリーク」元編集長。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。10年12月「田尾たんぼ」より改名。
出発エリアをに変更しました。
バナナやピーナッツなどの餌を手渡しできる。母猿が怒るので小猿にはむやみに近づかないこと
バリ島中部にある山あいの村ウブド。「芸術の村」と呼ばれるこの村は、海沿いの観光エリアとはまた違った趣がある。リピーターの多いバリの中でも特に人気の高いところだ。ここに「モンキーフォレスト」と呼ばれる森がある。その名の通り、猿がたくさん生息している森だ。ここの猿たちは野生ではあるけれど、お世話係がいて毎日ちゃんと餌をもらっている。そして森の中を自由気ままに動き回っているのだ。
確実に猿に会いたいなら午後4時〜5時頃が狙い目だ。いたずら者もいるので、帽子、アクセサリーなどははずし、バッグも閉めておこう
この森に遊びに来た人間の肩に乗ったり、ピーナッツやバナナをねだったりする仕草がなんとも愛らしい。中には人間の帽子やサングラスなどを奪って逃げるいたずらものもいるけれど、あわてて追いかける人間とのバトルは見ている人たちの笑いを誘う。動物好きにはこたえられない場所だろう。ちいさなちいさな子猿が母猿に甘えている姿などは、時のたつのも忘れて見入ってしまうほどだ。
狭い脇道を入って行くと、森を流れる小川のほとりに降りることもできる。フィトンチッドを胸いっぱいに吸い込みながらの散歩は最高
モンキーフォレストの魅力は猿だけではない。暑い日中の日盛りでもここだけは涼しく過ごすことができる。それもエアコンの人工的な涼しさではなく、まるで自然の木々たちに守られているようなやさしい涼しさには、思わずほっとしてしまう。日本の森ともまた少し違った熱帯の森。そのたくましい生命力がやすらぎを与えてくれるのだろうか。
プラ敷地内に入るには腰にサロンを巻かなくてはいけないが、プラの入り口でレンタル可能。料金はお布施程度
気持ちよく森林浴をしながら歩いていると、古いたたずまいのプラ(ヒンドゥー寺院)が現れる。信心深いバリの人たちが敬虔な祈りを捧げる場所だ。この森はこのプラを守るためにある。つまり、鎮守の森なのだ。森の住人である猿たちは聖なる生き物として、村人たちに手厚く守られている。人々が猿を守り、猿が森を守り、森がプラを守る。そしてプラが人々を守っているのだ。自然に寄り添い、神々を崇めるバリの人たちの、素朴ながらも人間らしい生き方を見るような思いがする。それはまさしく、都会に住む私たちが忘れてしまったものだろう。
ここはただの観光名所ではない。村人たちの生活に密着した聖なる場所なのだと思うと、ひんやりと涼やかな小道を歩く時にも、なんだかまた別の感慨深さがわいてくる。そして、おだやかなやさしい気持ちになれるのだ。
モンキーフォレストの開園時間 8:00〜18:00
入り口の小屋で入場料Rp.10,000/約140円(3歳〜12歳はRp.5,000/約70円)を支払う。入場券がなくても森は自由に出入りできるが、このお金は猿たちの餌代などの維持費になるのできちんと支払いたい。
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