- 田尾蓮果
- バリ島在住。ジャワ島のガジャマダ大学に語学留学後、93年バリ島に移住。誰もが認める犬バカ女で、美味しいもの、買い物、スパも大好き。フリーペーパー「H.I.S.バリフリーク」元編集長。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。10年12月「田尾たんぼ」より改名。
出発エリアをに変更しました。
空の色に椰子の木のシルエットが映える、ラ・ルチオーラの前庭。撮影したのは日曜日だったので、目の前のビーチには地元の人たちがたくさん夕涼みに来ていた
バリ島にはサンセットの名所と言われている場所がいくつもあるけれど、今回ご紹介するのもその中のひとつ。スミニャックのはずれにあるカユアヤビーチに建つレストラン「ラ・ルチオーラ」だ。この店は土台を高くし、海に向かってオープンエアになっているので、まるで映画のスクリーンを見ているように、太陽と雲の織りなす美しいサンセットが堪能できる。しかも、敷地とビーチの境目に一直線に植えられた椰子の木が優雅なシルエットとなって浮かび上がり、ほかでは味わえないような「熱帯サンセット」が満喫できるのだ。これはなかなか心憎い演出だと思う。
ビーチ側から見たラ・ルチオーラの外観
ラ・ルチオーラができたのが1994〜5年のことと記憶している。今でこそ高級ホテルやヴィラ、おしゃれなレストランなどが建ち並ぶこの界隈も、当時はほとんどなにもなく、夜などは真っ暗だった。駐車場も街灯もなく、暗闇の中で道路に車を停めてこの店に行ったものだ。懐中電灯を持っていないと足もとが危ないくらいの細い道を入っていくと、突然、あたたかな黄色い灯りに包まれたレストランが現れて、うれしいサプライズから始まるディナーを楽しめた。そんな頃からもう10年以上。シェフやメニューは変われども、変わらぬサービスと味の良さ、そしてなにより雰囲気の良さで人気を保っている。近所に似たような店ができても、その人気は衰えることを知らず、サンセットタイムやディナータイムは予約をしないと座れない日もあるほどだ。
店内は1階が喫煙席、2階が禁煙席になっている
私は日本から友だちが来ると、必ずといっていいほどこの店に案内する。行けば全員必ず喜ぶからだ。一度なんぞは帰国日のサンセットタイムに連れて行ったら、「残酷だ」といって怒られてしまったこともある。「こんな景色とこんな雰囲気の場所に、最後の最後に来てしまったら、帰るのがつらくなっちゃうじゃないか」と。オレンジ色に染まった顔を曇らせながらそんな風に言った彼も、この店の心地よさの中ですぐに穏やかな笑顔になっていったけれども…。サンセットを楽しめるビーチフロントのレストランはバリ島に数あるけれど、人にこんな思いをさせるのはおそらくここだけなんじゃないだろうか。
リングイネ(パスタ:手前)とオーガニックチキンのグリル。どちらもオススメのおいしさだ
熱帯気分を満喫できるこの店は、実はかんかん照りの日中に行っても楽しめる。暑い時に涼しい日陰で、海風を感じながら飲む冷たいジントニックは最高だ。波音のBGMまでついているのだから、こんなに気分のいいことはない。料理の方もほとんどハズレがないけれど、中でも私が好きなのはリゾットやパスタ。5種類のデザートが少しずつひと皿に盛られた「デザートプレート」もシアワセ気分を盛り上げてくれる。バリ島に来たなら、ぜひ一度お試しを。
■ La Lucciola(ラ・ルチオーラ)
Jl.Oberoi, Kayu Aya Beach, Seminyak, Bali, Indonesia
高級ホテル「ジ・オベロイ」からオベロイ通りを北上し、ヴィラ「ザ・サマヤ」を越えた左手。「プティ トゥンゲット寺院」の駐車場横。
Tel : (62-361) 730838
Open : 9:00 24:00/無休
※お天気によってはサンセットが見られない場合もあります。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/03/28)
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