唯一盛り上がれるはずの食事タイムも、いまひとつ

また、食の嗜好もずれていました。我が家はとにかく食べ物の好き嫌いがありません。だからどこかへ行くとき、食事について心配したことがありませんでした。しかし両親はとても好き嫌いが多く、食べつけないエスニック料理にはまったく盛り上がりませんでした。予算を抑えつつ、観光客向けでしかも地元風の雰囲気も味わえることに気を遣ってレストランを選んだのも徒労に終わり、唯一喜んだのは結局ホテル内のコンチネンタルなレストランでした。

総勢7名の家族旅行、バリ島は最適な選択と思いきや……!(後編) 総勢7名の家族旅行、バリ島は最適な選択と思いきや……!(後編)

「海外旅行」というものへの認識の差

そして、両親にとっての海外旅行というのは、私が考えていたよりもずっとぜいたくな楽しみだということを、私は理解していませんでした。たとえばバリ名物の「ケチャ」という舞踏劇を見に行くときのことです。義母が突然に「ちょっと待って!観劇に行くなら、着替えなきゃ!」と言って部屋に引っ込み、すばらしいドレスアップをしてきてしまったのです。義母からすれば「観劇」というものは、バレエやオペラなど、精一杯のおしゃれをして出かける場のこと。まさかコンクリートづくりの野外劇場で直接コンクリートのベンチに座って見るものだとは想像もしていなかったのでしょう。夫や子供たちはケチャを満喫して楽しんでいましたが、義母には悪いことをしました。

この後、だんだんと歩調を合わせるように

最初から最後まで思惑が外れっぱなしで、苦い思い出となってしまった初めての家族全員旅行。添乗員として、私はしばらく落ち込んでいました。両親もしばらくは「家族旅行はこりごり」だったようですが、その後の家族旅行では、束縛の少ないゆるやかな旅程を作れるようになりました。現地まで好きなルートで三々五々集まって、全員が顔を合わせるのは朝晩の食事だけ、日中は各自の好きな場所を観光する、など。バリでの教訓が活かされたわけです。

やっぱり「旅は道連れ」!

バリは思い返してみても、誰かが悪かったというわけではありません。もし夫の両親と長年完全同居をしていたりすれば、旅はずっとスムースだったはずです。ふだん離れて暮らしている者同士では、いくら好みや年齢を考慮したつもりでも限界がありますから。これは親類ではなく、友達同士の旅行でも当てはまりますね。旅行前はわくわくしているので、こんなふうに失敗するなど思いもよりませんが、旅行中はおたがいの我が強くなりがちなものです。我が家の場合は失敗を教訓に変えて、楽しく家族旅行を続けることになりました。旅先では、つねに相棒に一歩譲る精神で行きましょう!