カブトガニを食べるなんて?!

カブトガニを食べる機会は、現在の日本ではまずありえないでしょう。カブトガニといえば「生きた化石」。環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧1類に指定され、さらに日本各地で天然記念物に指定されている、大変希少な生物です。環境汚染や沿岸の開発により、個体数が激減しているのです。ところが! 中国や東南アジア諸国では、なんとふつうに食用にされています。日本では大事に保護しなければならない「生きた化石」が食べられているなんて、なんとも不思議な気分ですよね。

日本では絶滅危惧種のカブトガニも、東南アジアでは普通の食べ物! 日本では絶滅危惧種のカブトガニも、東南アジアでは普通の食べ物!

たしかに市場や海鮮レストランにあります!

私も、香港の港町である西貢(サイクン)や、マレーシアはコタキナバルのシーフードレストランなどいろいろなところで、水槽に入ってうごめいているカブトガニを見たことがあります。いわゆるゲテモノはなんでも食べたい! と思ってしまう食いしん坊な私ですが、このカブトガニだけは、実物を見てもまったく食べたいと思いませんでした。その理由はおそらく、「(日本だけとはいえ)絶滅危惧種の天然記念物を食べるなんて」という忌避感覚と、「おいしくない」という噂によるものでしょう。

カニとは名ばかり。味は大違い

カニという名前がついていても甲殻類ではなく、クモやサソリに近いため、噂によれば、カニのような味わいを期待すると完全に裏切られるらしいのです。私だって、あんなに大きなものが全部カニの味だったら食べる気満々になったかもしれませんが。メスのあの大きな甲羅の中には、卵がぎっしりと入っています。殻ごと焼き、その卵をすくって食べるのですが、生臭く、舌触りも気持ち悪いという感想がほとんど。平均的な日本人の舌にはなかなかハードルが高いようですね。

恐れ知らずのあなた! 毒には気をつけて!

さらに恐ろしいことに、カブトガニはフグと同じ種類の猛毒「テトロドトキシン」を持っていることがあります。これは、2月から6月にかけてカブトガニが有毒プランクトンを餌とするためだそうです。毒はエラの部分に集中しているので、エラは決して食べてはいけません。この季節は卵にも毒が含まれていることもあるそうです。そんなに命がけで、おいしくないという噂のカブトガニを食べるだけの冒険心は、とても私にはありません。もしもあなたが旅先で食用カブトガニを見つけ、旅の思い出に食べてみようと思ったら、くれぐれもエラは食べないこと、そして卵も一気に頬張らず、ほんの少しずつ口に入れて様子を見てください(そもそも食べないほうがいいと私は思いますが…)。