その土地ならではのグルメを求めるのも、旅の楽しみ

海外旅行に行ったら、その土地の特産品を食べてみたいと思う人は多いことでしょう。とりわけ、「この国の中でも、この地方にしかない!」と言われるほど、好奇心もありがたみも増すものです。ボルネオ島、サバ州のコタキナバルへ行ったとき、私もいろいろな特産品を積極的に試してみました。南国フルーツもめずらしいものが多くて感動しましたが、現地ガイドさんが「ぜひ、これを食べてくださいね!」と力説してくれたのは、「サバベジ」という名前の野菜でした。

コタキナバルの大規模なシーフードレストラン コタキナバルの大規模なシーフードレストラン

名前は「ベジ」でも、野菜のようで野菜にあらず?

サバベジ(=サバ州特産ベジタブル)という名前なので「野菜」と書きましたが、正確には野菜とはちがいます。野菜は「食用にする草本植物(木にならない植物)」のことです。このサバベジは、高さ2メートルほどの木の枝先を摘み取ったものなんですよ。この木はサバ州に自生していて、若い芽の部分ほど柔らかくて食べやすく、根もと近くの太い部分ほど、硬くて筋張ってくるので、なるべく先端に近い方が上物です。

これが噂の「サバベジ」です! これが噂の「サバベジ」です!

マレー語名の「サユール・マニス」とは……

鮮やかな緑色で、形は山菜のわらびによく似ています。調理法は、ガーリック炒めか、ブラチャンという名前のエビを発酵させた調味料で炒めるのが一般的。卵や干しえびなどを炒め合わせるメニューもあります。私はシンプルにガーリック炒めを試してみましたが、ビールがいくらでも進みそうなおいしさです。歯ごたえがコリコリしていて、少しぬめりがあり、食べにくいアクや癖はまったくありません。そしてほのかに甘みがあります。この「ほのかな甘み」のために、サバベジはマレー語では「サユール・マニス」と呼ばれています。「サユール=野菜」、「マニス=甘い」というストレートなネーミングです。

こんな小さなレストランでも食べられますが、イスラムのお店はアルコールがありません こんな小さなレストランでも食べられますが、イスラムのお店はアルコールがありません

サバベジに、強力ライバル出現か?!

サバ州の人々が胸を張る“サバ州でしか食べられない特産野菜”のサバベジ。しかし、実はお隣のサラワク州に、これと瓜二つの特産野菜「ミディン」というものがあるのです。日本人観光客の数はサバ州の方が多いためか、サバベジの方が圧倒的に有名ですが、どう見ても同じものですね……。採取方法、味、見た目、全部同じです。サラワク州の人々は、やはり「ミディンはサラワク州でしか採れない!」と胸を張りますが。いずれにせよ自生の木の若芽ですし、木に州境はありませんから、あのあたりの特産品ということで大きく括っていいのではないでしょうか。サバ州のサバベジ、サラワク州のミディン、ボルネオ島に行ったらぜひ食べ比べてみてくださいね!