「世界最小」と言われたサル

“タルシウス”をご存知の人はあまりいないのではないでしょう。私もインドネシアのスラウェシ島へ行くまではそうでした。フィリピンでは「ターシャ」とも呼ばれるこのサルは、「世界最小のサル」と呼ばれていた体長10cmほどの希少種です。1992年にマダガスカルで発見された体長6〜7cmのピグミーメガネキツネザルに、「世界最小のサル」の地位は奪われましたが、それにしても10cmといえば、文庫本の高さよりも小さいのですから、かなり小さいことにはまちがいありません。そんな稀少なサルを見に行く、現地発ツアーがあるのです。

体長が10cmしかないサル、タルシウスを見に行くツアー 体長が10cmしかないサル、タルシウスを見に行くツアー

ダイビングリゾート近くにある穴場

その場所は、スラウェシ島北部の町マナド近くのタンココ野生動物保護区です。マナドやその沖合に浮かぶブナケン島は、有名なダイビングスポットで、ホテルやリゾートもある観光地。それに比べこの保護区は知られておらず、観光客が少ないおかげで、まだツアーも成立しているのでしょう。私は空港からバイクタクシーを雇って、保護区の入口にある村へと向かいました。もちろん予算があればタクシー利用も可能です。空港から1時間ほどで、バイクは脇道に入って行きます。

ツアーが始まるのは夕方

村は小さいですが、それでも公園入口に質素なゲストハウスが2〜3軒あり、欧米人の親子連れも泊まっていました。保護区の管理事務所は、村から10分ほど歩いた場所。ここに17時集合で、ツアーが始まります。その時の参加者は、近くのゲストハウスやホテルから集まった観光客が10人程度。2グループに分かれてガイドに連れられ、私たちは森の中に入って行きました。道らしい道はほとんどありません。20分ほど歩くと、1本の大木に到着しました。その“うろ”にタルシウスが棲んでいるというのです。ただし夜行性なので、出て来るのを待つということになるのです。

木の周りで待っていると…

蚊に刺されながら(笑)日没を待ち、18時を過ぎたころようやく周囲は真っ暗になりました。ガイドがライトで照らすと、木の“うろ”からリスほどの大きさのタルシウスが、本当に“ひょこっと”出てきました。ライトに照らされても別に気にしない風なのは、こうして毎日観光客が来ているからでしょうか。もしかして寝起きで、ぽーっとしているかもしれません。ストロボ撮影はダメですが、ガイドがライトで照らしているので、感度を上げればふつうのデジカメでも写真は撮れました。出たり入ったりしているうちに、やがてタルシウスはエサを探しにどこかへ行ってしまいました。エサは小さな昆虫などのようです。帰りはガイドさんのライトを頼りに森を戻るのですが、とにかく真っ暗で、ついて行くのに必死でした。途中で、ガイドが木の枝を照らすと、そこにもタルシウスが。今回はあわてたのか敏捷な動きで、あっという間に他の木の枝に飛び移って逃げて行きました。もし、マナドにダイビングに行く予定があるなら、そのついでにタルシウスを見に行くプランを加えてみるのはいかがでしょうか。