サーファーたちを魅了する島、ニアス島って?

サーファーたちの間で、憧れの地と言えば、真っ先に頭に浮かぶのがハワイのオアフ島北部のノースショアでしょう。あるいはインドネシアのバリ島が、日本人にはお馴染みかもしれません。ベテラン・サーファーになれば、この2カ所くらいは行ったことがある人も多いのですが、「聖地」と言われつつ、なかなか行けないのがニアス島です。右から左に完全な形できれいに崩れる波は、ハワイ以上との評価もあるほどですが、いかんせん行きにくいのです。まずはシンガポールまで飛んで、シンガポールからインドネシアはスマトラ島のメダン、そしてプロペラ機で、インド洋に浮かぶ、ニアス島に行くのです。さらにかつては、空港から波の立つソラケビーチまでは、悪路を改造トラックで約5時間も走らなければなりませんでした。着けばそこは、サーファーズ・パラダイスです。一戸建ての高床式バンガローは安く、目の前で美しい波が1日中上がっているのです。

ニアス島ボトヒリ村(中央の石は、成人式用のストーンジャンプ。この石を飛び越えることで大人の社会に迎え入れられる伝統儀式がある) ニアス島ボトヒリ村(中央の石は、成人式用のストーンジャンプ。この石を飛び越えることで大人の社会に迎え入れられる伝統儀式がある)

スマトラ島沖地震に襲われたニアス島

2004年、この島にもスマトラ島沖地震の津波が襲ったそうです。スマトラ島のパンダ・アチェの町が、津波に覆われた映像をご記憶の方も多いでしょう。1900年以降2度目に大きな大地震で、22万人以上の方が亡くなりました。地震の後で注目されたのが、この島、ニアスだったのです。巨大地震多発地帯にあって、実はこの島では、津波に強い町づくりがなされてきた歴史があったのです。まず、海岸線に村は造らない。伝統的な村は、すべてジャングルを切り開き、石畳を敷いて、丘の上に作られました。現在でも、サーファーたちが泊まるバンガローの奥の丘にも村があり、地震の時は、この村まで逃げれば大丈夫です。伝統的な家々は、大人の男が三人手をつないでも届かないほど太い丸太で、柱や筋かいをほどこし、強固に作られています。そんな家々が長屋のよう両側に続き、中央に石畳の広い通路が施されているのです。

ニアスの波にトライしてみよう!

スマトラ沖地震の時、人々は家から飛び出し、数日間は、この広場で暮らしたそうです。地震や津波から、どうやって住民を守るか。その知恵が、ニアス島の歴史には隠されているのでした。東日本大震災以降は、日本の学者たちもこの島を、研究対象として訪れるようになっているそうです。そして変な話、大地震があったおかげで国の対策も行われ、今では空港からわずか2時間でソラケビーチまで行けるように、道が改善されました。ただそれでも、多くのサーファーにとっては、この島は、いまだ「憧れの聖地」のままです。「ジャングルの池の中でサーフィンするようだ」と言われるここのビーチは、Uの字型の湾の中で波が上がるので、サーフィンしていて見えるのは美しい緑のジャングルばかりなのです。僕は計4カ月ほど滞在しましたが、素晴らしいところですので、ぜひ、みなさんにも、ニアスの波にトライしてもらいたいです。